• "軍拡競争"(/)
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  1. 港区議会 1998-06-10
    平成10年第2回定例会−06月10日-06号


    取得元: 港区議会公式サイト
    最終取得日: 2021-09-21
    平成10年第2回定例会−06月10日-06号平成10年第2回定例会  平成十年 東京都港区議会議事速記録 第六号(第二回定例会)   平成十年六月十日(水曜日)午後一時一分開会     一 出席議員(三十九名)       一  番  藤 田  五 郎 君      二  番  秋 元 ゆきひさ 君       四  番  鈴 木  武 昌 君      五  番  結 城  光 江 君       六  番  林    健 司 君      七  番  小 斉  太 郎 君       八  番  湯 原  信 一 君      九  番  杉 原  としお 君       十  番  岸 田  東 三 君      十 一番  熊 田  ちづ子 君       十 二番  星 野   喬  君      十 三番  大 谷  たき子 君       十 四番  木 村  のり子 君      十 五番  藤 本   潔  君       十 六番  滝 川  嶂 之 君      十 七番  佐々木  義 信 君       十 八番  鈴 木  洋 一 君      十 九番  井 筒  宣 弘 君       二 十番  きたしろ 勝 彦 君      二十一番  風 見  利 男 君       二十二番  沖 島  えみ子 君      二十三番  清 水  良 英 君       二十四番  山 越   明  君      二十五番  西 山  信 男 君       二十六番  渡 辺  専太郎 君      二十七番  大 蔦  幸 雄 君       二十八番  鈴 木  たけし 君      二十九番  菅 野   一  君
          三 十番  川 村  蒼 市 君      三十一番  北 村  利 明 君       三十二番  栗 橋  伸次郎 君      三十三番  清 水  一 郎 君       三十四番  遠 山  高 史 君      三十五番  上 田 あつひで 君       三十六番  横 山  勝 司 君      三十七番  植 木   満  君       三十八番  伊 東  徳 雄 君      三十九番  真 下  政 義 君       四 十番  島 田  幸 雄 君     一 欠席議員  な し     一 説明員       東京都港区長    菅 谷 眞 一 君    同  助   役 上 田 曉 郎 君       同   助   役 永 尾  昇  君    同  収 入 役 鎌 田 昶 壽 君       同  教 育 長  中 村 勝 弘 君    同 政策経営部長 入戸野 光 政 君       同街づくり推進部長 本 村 千代三 君    同 保健福祉部長 加 藤  武  君       同 みなと保健所長 永 見 宏 行 君    同 環境保全部長 武 田 慎 次 君       同  区民生活部長 高 杉 眞 吾 君    同 教育委員会                                事務局次長  宮 崎 武 雄 君     一 出席事務局職員       事 務 局 長 金 子 文 男 君     事務局次長   武 井 雅 昭 君                             議 事 係 長 日 詰 由 三 君                                         他五名             ───────────────────────────       議  事  日  程           平成十年六月十日午後一時 日程第 一  区長報告第 二 号 専決処分について(東京都港区特別区税条例の一部を改正する条例) 日程第 二  議 案 第四十七号 東京都港区特別区税条例の一部を改正する条例 日程第 三  議 案 第四十八号 東京都港区立内職補導授産所条例の一部を改正する条例 日程第 四  議 案 第四十九号 東京都港区立児童館条例の一部を改正する条例 日程第 五  議 案 第五 十号 災害時において応急措置の業務等に従事した者に係る損害補償に関する条例の                  一部を改正する条例 日程第 六  議 案 第五十一号 工事請負契約の承認について((仮称)芝浦運河橋新設工事(桁製作工)) 日程第 七  議 案 第五十二号 工事請負契約の承認について(田町駅東口駅前広場地下自転車駐車場建設工事) 日程第 八  議 案 第五十三号 東京地方裁判所平成七年(フ)第三六九四号、第三七一四号破産申立事件において                  港区が届け出た債権の劣後の申出について             ─────────────────────────── ○議長(真下政義君) ただいまより平成十年第二回東京都港区議会定例会を開会いたします。  今回の応招議員はただいま三十八名であります。したがいまして、本定例会は成立いたしました。  お諮りいたします。今期定例会の会期は本六月十日から十九日までの十日間といたしたいと思いますが、ご異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(真下政義君) ご異議なきものと認め、さよう決定いたしました。             ─────────────────────────── ○議長(真下政義君) これより本日の会議を開会いたします。  ただいまの出席議員は三十九名であります。  会議録署名議員をご指名いたします。二十八番鈴木たけし君、二十九番菅野一君にお願いいたします。             ─────────────────────────── ○議長(真下政義君) 報告事項がありますので、ご報告いたします。  まず、職員に定例会招集の報告をさせます。   〔武井事務局次長朗読〕             ─────────────────────────── 十港政総第一四四号   平成十年六月三日  港区議会議長 真 下 政 義 様                          港 区 長     菅   谷   眞   一       平成十年第二回東京都港区議会定例会の招集について  本日、別紙告示写しのとおり、標記定例会を六月十日に招集しましたので通知します。             ─────────────────────────── 東京都港区告示第八十九号  平成十年第二回東京都港区議会定例会を六月十日に招集します。   平成十年六月三日                          港 区 長     菅   谷   眞   一             ─────────────────────────── ○議長(真下政義君) 次に、説明員の異動について、区長並びに教育委員会委員長からそれぞれ通知がありましたので職員に朗読させます。   〔武井事務局次長朗読〕             ─────────────────────────── 十港政総第八号   平成十年四月一日  港区議会議長 真 下 政 義 様                         東京都港区長     菅   谷   眞   一       説明員について  地方自治法第百二十一条の規定に基づく標記のことについて、別紙のとおり通知します。 1 新 規   みなと保健所長                            永  見   宏  行   保健福祉部介護支援課長                        杉  本   昇  三   保健福祉部高齢者対策調整担当課長                   石  井   正  明   保健福祉部生活福祉課長                        内  藤      淳   区民生活部課税課長                          吉  野   博  之   区民生活部芝浦港南支所長                       矢  澤   慶  一 2 異 動    政策経営部長                            入 戸 野  光  政    参事                                渡  邊   嘉  久    街づくり推進部長                          本  村  千 代 三    保健福祉部長                            加  藤      武    参事          保健福祉部保健福祉管理課長 事務取扱    渋  川   典  昭    環境保全部長                            武  田   慎  次    区民生活部長                            高  杉   眞  吾    政策経営部総務課長                         大  野   重  信    政策経営部区民広報課長                       花  角   正  英    政策経営部区政情報課長                       折  原   秀  博    政策経営部企画課長                         大  木      進    政策経営部副参事                          田  中   秀  司    政策経営部財政課長                         武  市      敬    政策経営部人事課長                         野  村      茂    政策経営部副参事                          小  池  眞 喜 夫    政策経営部契約管財課長                       岡  橋      渡    政策経営部施設課長                         久 留 宮  具  良    街づくり推進部都市計画課長                     井  伊   俊  夫    街づくり推進部街づくり調整課長                   廣  井  誠 一 郎    街づくり推進部特定開発担当課長                   勝  山   景  之    街づくり推進部市街地整備課長                    菅  原   三  彌    街づくり推進部都市施設管理課長                   平  賀      誠
       街づくり推進部住宅課長                       田  中   隆  紀    街づくり推進部建築課長                       山  田   憲  司    街づくり推進部道路公園課長                     渡  邉      進    街づくり推進部街路事業課長                     前  田      宏    街づくり推進部土木維持課長                     滝  川   豊  美    保健福祉部子育て推進課長                      小  菅   信  雄    保健福祉部保育課長                         川  畑   青  史    保健福祉部障害保健福祉課長                     松  本   辰  明    保健福祉部副参事                          大 久 保 さ つ き    みなと保健所生活衛生課長                      大  槻      巌    みなと保健所保健サービス課長                    中  澤   秀  昭    みなと保健所副参事                         佐  藤   文  宣    環境保全部環境対策課長                       榎  本   欣  三    環境保全部清掃移管対策課長                     宮  川      修    区民生活部地域活動支援課長                     大  木      静    区民生活部防災課長                         高  島   正  幸    区民生活部商工課長                         渡  邉   泰  久    区民生活部住民戸籍課長                       市  原   和  臣    区民生活部納税課長                         國  友   俊  勝    区民生活部国民健康保険課長                     田  島      誠    区民生活部国民年金課長                       家  入   数  彦    区民生活部麻布支所長                        藤  春   伸  一    区民生活部赤坂支所長                        齊  勝   禮  子    区民生活部高輪支所長                        田  中   修  平  3 解 除   区民部長                               黒  瀧   康  夫   厚生部長                               高  野      功   芝保健所長                              稲  田   信  子   麻布保健所長 兼務 赤坂保健所長                   天  野  タ エ 子   企画部清掃移管対策課長                        内  田  健 一 郎   企画部文化国際交流担当課長                     大  友   正  弘   企画部予算課長                            鈴  木   尚  志   都市環境部副参事                           谷  山   義  明   区民部住民戸籍課長                          竹  山   敏  夫   区民部麻布支所長                           由  井   敏  参   区民部芝浦港南支所長                         須  中   一  雅   厚生部高齢者在宅サービス課長                     鈴  木   隆  夫   厚生部障害福祉課長                          高  嶋   芳  夫   土木部土木管理課長                          齊  藤      潔             ─────────────────────────── 十港教庶第一二三号   平成十年四月一日  港区議会議長 真 下 政 義 様                     港区教育委員会委員長     西   尾   珪   子       説明員について  地方自治法第百二十一条の規定に基づき、下記のとおり通知いたします。 1 新 規   庶務課長                               齊  藤      潔   生涯学習推進課長                           由  井   敏  参   スポーツ振興担当課長                         近  藤   洋  一 2 異 動   学校適正配置担当課長                         閑  林   朝  之   図書・文化財課長                           上  原   裕  江 3 解 除   参事 庶務課長事務取扱                        井  口   良  夫   社会教育課長                             杉  本   昇  三   スポーツ振興課長                           吉  野   博  之             ─────────────────────────── ○議長(真下政義君) 次に、例月出納検査の結果について、報告書が監査委員から議長の手元に提出されておりますので、その概要を職員に朗読させます。   〔武井事務局次長朗読〕             ─────────────────────────── 九港監第一〇七号   平成十年三月十一日  東京都港区議会議長 真 下 政 義 様                         東京都港区監査委員  大   野   高   正                         同          高   橋   元   彰                         同          川   村   蒼   市       平成十年二月例月出納検査の結果について  地方自治法第二三五条の二第一項の規定に基づき例月出納検査を実施したので、同法同条第三項の規定により、結果に関する報告を下記のとおり提出します。 一 検 査 の 範 囲   (一) 検 査 対 象  区一般会計国民健康保険事業会計老人保健医療会計歳入歳出外現金、基金   (二) 検 査 場 所  港区監査事務局   (三) 検 査 期 間  平成十年二月二十四日から二月二十六日まで 二 検 査 の 結 果  本検査においては、収入役から提出されました平成十年二月例月出納報告書の計数について、出納関係諸帳簿及び諸票、指定金融機関提出収支計算書、預金通帳、証拠書類、証券等と照合し検証した結果、過誤のないことを確認しました。             ─────────────────────────── 十港監第一二号   平成十年四月十日  東京都港区議会議長 真 下 政 義 様                         東京都港区監査委員  大   野   高   正                         同          高   橋   元   彰                         同          川   村   蒼   市       平成十年三月例月出納検査の結果について  地方自治法第二三五条の二第一項の規定に基づき例月出納検査を実施したので、同法同条第三項の規定により、結果に関する報告を下記のとおり提出します。 一 検 査 の 範 囲   (一) 検 査 対 象  区一般会計国民健康保険事業会計老人保健医療会計歳入歳出外現金、基金   (二) 検 査 場 所  港区監査事務局   (三) 検 査 期 間  平成十年三月二十四日から三月二十六日まで 二 検 査 の 結 果  本検査においては、収入役から提出されました平成十年三月例月出納報告書の計数について、出納関係諸帳簿及び諸票、指定金融機関提出収支計算書、預金通帳、証拠書類、証券等と照合し検証した結果、過誤のないことを確認しました。             ─────────────────────────── 十港監第二九号   平成十年五月八日  東京都港区議会議長 真 下 政 義 様                         東京都港区監査委員  大   野   高   正                         同          高   橋   元   彰                         同          川   村   蒼   市       平成十年四月例月出納検査の結果について  地方自治法第二三五条の二第一項の規定に基づき例月出納検査を実施したので、同法同条第三項の規定により、結果に関する報告を下記のとおり提出します。 一 検 査 の 範 囲
      (一) 検 査 対 象  区一般会計国民健康保険事業会計老人保健医療会計歳入歳出外現金、基金   (二) 検 査 場 所  港区監査事務局   (三) 検 査 期 間  平成十年四月二十三日から四月二十七日まで 二 検 査 の 結 果  本検査においては、収入役から提出されました平成十年四月例月出納報告書の計数について、出納関係諸帳簿及び諸票、指定金融機関提出収支計算書、預金通帳、証拠書類、証券等と照合し検証した結果、過誤のないことを確認しました。             ─────────────────────────── ○議長(真下政義君) 例月出納検査の詳細については、報告書を議長の手元に保管しておりますので、随時ご閲覧願います。             ─────────────────────────── ○議長(真下政義君) 次に、法人の経営状況に関する報告書が区長から議長の手元に提出されておりますので、その概要を職員に朗読させます。   〔武井事務局次長朗読〕             ─────────────────────────── 十港政総第一四五号   平成十年六月五日  港区議会議長 真 下 政 義 様                          港 区 長     菅   谷   眞   一       法人の経営状況に関する書類の提出について  地方自治法第二四三条の三第二項の規定に基づき、下記法人についての経営状況に関する書類を提出します。 一 港区土地開発公社  (一) 平成十年度港区土地開発公社事業計画  (二) 平成十年度港区土地開発公社資金計画  (三) 平成十年度港区土地開発公社予算 二 株式会社みなと都市整備公社  (一) 平成十年度事業計画書  (二) 平成十年度事業予算書 三 財団法人港区住宅公社  (一) 平成十年度事業計画書  (二) 平成十年度収支予算書 四 財団法人港区スポーツふれあい文化健康財団  (一) 平成十年度財団法人港区スポーツふれあい文化健康財団事業計画書  (二) 平成十年度財団法人港区スポーツふれあい文化健康財団収支予算書 五 財団法人港勤労者サービス公社  (一) 平成十年度事業計画書収支予算書  寄附行為             ─────────────────────────── ○議長(真下政義君) なお、詳細については、報告書を議長の手元に保管しておりますので、随時ご閲覧願います。  以上にて、報告を終わります。             ─────────────────────────── ○議長(真下政義君) 区の一般事務について質問の通告がありますので、順次発言をお許しいたします。  九番杉原としお君。   〔九番(杉原としお君)登壇、拍手〕 ○九番(杉原としお君) 平成十年第二回定例会に当たり、私は自由民主党を代表して、区長及び教育長にお伺いいたしますので、明快な答弁を期待して質問に入ります。  質問に入る前に、このたび、インドに続きパキスタンの核実験が世界の世論の反対を押し切り強行されました。日米は直ちに経済制裁を発動しましたが、不拡散体制の崩壊の危機を迎え、世界の安全保障の枠組みと包括的核実験禁止条約など一連の軍縮体制は大きな見直しを迫られています。インド、パキスタンの核実験に対し、被爆者や被爆地の失望と怒りは日増しに大きくなっています。このままでは核の拡散が広がることで核保有国である大国の論理が通らず、実験によって連鎖反応を起こし、歯止めがきかずに、インド、パキスタンに続く核実験国が生ずるおそれがあり、こうした核拡散による軍拡競争に走るおそれがあります。今、一番怖いのは、無力感に陥ることであり、唯一の被爆体験を持つ日本は、改めて核保有国に核廃絶を強く訴え続けることで、こうした連鎖反応を阻止するしかないと思います。  パキスタンの再度行った核実験に対して、青島知事をはじめ、都内二十三区の区長の核実験に対する抗議表明が相次ぎ、港区の菅谷区長も「新たな核拡散をもたらすもので断じて許すことはできない」という書簡をシャリス首相に送りました。政府は、核軍縮と核廃絶に向けた官民合同による国際フォーラムの日本開催を提案して核軍縮推進へ国際合意の実現を目指しています。もう一度、広島、長崎の原点に立ち、市民レベルで世界に広く反核に対する怒りを強く訴えるべきと思います。  戦後五十年経過して、さまざまな分野で制度面の構造疲労を招き、政治・経済・官僚など多くの不祥事が発覚しています。こうした不祥事は、高度成長時代に一部の良識ある人々の指摘・批判を忘れて、拡大してきたツケであります。この機会をとらえ、あしき慣例・慣行の見直しをするべきで、正すべきは正すことが今こそ大切であります。ただ、すべての慣行・慣例が悪であると決めつけるのは、一方的な判断だと私は思っています。日本人として昔から守り育ててきた良き習慣までも切り捨てることは、ぜひ避けたいと思います。何事も透明性を必要とすることは、時代の要求でありますが、その判断を誤ると失うものも大きいと思います。  財政運営についてお伺いします。  北海道拓殖銀行、山一証券など大手金融機関の経営破綻をきっかけに企業倒産は増加の一途で、平成十年度の経済見通しもトンネルに入り、全く出口が見えず、緩やかな回復基調という表現から停滞という表現になり、最近はさらに悪化しているようです。四月の失業率が四・一%を超え、完全失業者は二百九十万人という今までにない危機感を迎えています。バブル破綻後七年経過して、政府は幾多の景気対策をしてきましたし、景気の下支えをしたにもかかわらず、全くその効果があらわれません。政府は、最終的に財政構造改革を一時的に凍結してでも、大型減税を実施すべきと判断し、本年四月に十六兆円もの大型景気対策を決定しました。この刺激策の効果が早くあらわれることを期待するものですが、バブルの後遺症は、企業のみならず、地方自治体の財政をも直撃し、今やどの自治体も経営破綻の危機を迎えています。  地方債の現在高は、都道府県と市町村をあわせると既に八十兆円を突破し、これ以上借金で財政を維持するのは限界にきています。平成九年度の地方税収入は、都道府県税の落ち込みにより、地方財政計画の収入見込み額を一兆四千億円近く下回る見通しとなることが自治省のまとめで発表されました。景気の低迷による企業業績の悪化でこうした法人関係税が落ち込むことで、さらに地方自治体の財政悪化に拍車をかけるのではないかと心配しています。  「危ない自治体ランキング」というタイトルの月刊誌『THE21』の特集によりますと、全国主要百都市と東京二十三区についてさまざまな財政指標をもとに経営状況をランク付けしたものです。港区としては、平成五年度、バブルがはじけた時点の調査ではダブルAという上位を占めていましたが、平成八年度になると、トリプルBに2ランクダウンしています。財政健全度を示す経常収支比率はワースト七位で、ワーストの上位はすべて大阪府で、それを除くと実質的なワースト一位となってしまいます。こうした港区の財政悪化をこのような経営力の格付けの調査の結果を見るまでもなく、百億円の財源不足に対処するため、平成九年度を財政健全化のスタートとなる三ヵ年間の「財政構造改革指針」を定め、財源不足の解消を目標に掲げて財政改革に取り組んでいます。区民にも一時的な痛みを伴うことがありましたが、財政再建の初年度となる九年度の決算がまもなく発表されて、早くその結果が待たれるところであります。  そこで、お伺いしますが、どの程度の成果があったのか気になるところですが、その詳細はまだわからないと思いますが、どの程度の改善が図られているのか。途中経過で結構ですが、お伺いしたいと思います。  次に、納付金対策についてお伺いします。  平成十二年四月より都区制度改革によって納付金制度が廃止されることは、これまで納付金対策に苦しんできた港区にとって非常に喜ばしい限りです。しかし、新しい都区財政調整制度が実施されるのは十二年度からで、それまでの二年間は当然納付金の対策をしなければならないことであります。今国会での審議の中で「納付金制度の存続は、課税権の面から見て特別区の自主性を阻害する」との政府の答弁がありましたが、全く同感であります。納付金を納めるということは、第一に、この制度は廃止が決定していること、第二に、区財政は厳しい現状にあること、第三に、区民の率直な感情からしても到底納得できない。七月中旬には十年度財政調整の各区ごとの当初算定の結果が出ます。区の十年度予算では、一億円の普通交付金を計上しているが、どのような見通しなのか。納付金の心配は全くないのかをお伺いします。  先ほど四月に総合経済対策が決定したことに触れましたが、この効果により景気が一刻も早く回復し、その結果、区税収入も増加に転じることを願いますが、今回の特別減税により、前回の特別減税とあわせると、所得税とあわせて合計四兆円、住民税では約一兆二千億円の減収となります。区税収入も一時的に減ることになり、断腸の思いでありますが、景気回復のためにはやむを得ないところです。ただ、現実の問題として、区税収入の減少などに対する何らかの対策が必要であります。自治省は、減税補てん債の発行により穴埋めをする方針と伺っていますが、元利償還に要する費用は、後年度の地方交付税の中で算定することになっています。区においては、都区財政調整の中で一定の保障がありますが、後年度に負担が残ることには変わりはありません。将来のことを考えると、発行は慎重にすべきと考えます。二回の特別減税による区への影響額はどの程度になるのか。また、その穴埋めに減税補てん債の発行を考えているのかをお伺いしたいと思います。  地方自治法で二十三区は特別区と規定され、東京都の内部団体とされています。二十三区一丸となり、都の内部団体からの独立を図るべく長年にわたり自治権拡充を目指し、運動を続けてまいりました。本年四月末に私どもの悲願であった地方自治法の一部が改正され、平成十二年四月に新たに三十三事業が東京都から各区に移管されることになりました。三十三事業の中でも清掃事業は区民生活の中で最重要課題であります。港区がもっと身近な自治体としての独自性を求めるなど、新たな取り組みの姿勢を見せることが重要であります。同時に、区民も「サービスは手厚く負担は少なく」という自立意識の希薄さだけでは許されないのは当然です。基礎的自治体になったという単なるかけ声だけではなく、自立責任と努力も求められます。身近な基礎的自治体として移管される事業への取り組み、特に財源問題は東京都側と二十三区側での最大の問題点となるものと考えます。移管の法施行まであと二年弱の間に解決しなければならない難問も数多くあると考えますが、菅谷区長の今後の取り組みと決意のほどをお伺いいたします。  緊急特別枠融資制度についてお伺いいたします。  中小企業にとって貸し渋りが続く中で資金繰りの確保は最大の課題であり、企業存続の危機を乗り越える企業者からの深刻な悩みが多く寄せられています。特設倒産ホットラインの声に経営者からの電話が目立ち、その多くは銀行の貸し渋りに対する怒りであります。その多くは「預金があるのに」「取引が長いのに」という資金繰りに困っている相談であります。「金融安定化二法」の成立によって、三十兆円を枠組みとする公的資金の投入が決まり、その目的である貸し渋り対策が効果を上げていないようです。自己資本比率を上げるために貸し出し資産の圧縮に走った結果、設備資金はおろか、運転資金の融資まで断られ、倒産に追い込まれるケースが中小企業を中心に多くなっています。いわば長期的・本来的対策と緊急目前の対応を同時に進めなければならない我が国が抱えているジレンマゆえの悩みであります。  そこで、今回の港区緊急特別枠融資の実施状況でありますが、第一次のときは早朝から申し込み者が区に殺到し、一時間足らずで三百九十九人で申し込みを締め切る状況でした。港区は反響の大きさと区民の強い要望にこたえるため、第二次として十億円、第三次として二十億円を前倒しを含め実施することになりました。第二次のときからはがきで申し込み、抽選したことで、第二次としては一一・三%、第三次としては一八・一%という応募件数に対する低い当選率となってしまいました。今回の特別融資枠制度は港区としても初めてのケースであり、余りに反響の大きさにいかに中小企業、商店など資金繰りに困っているかが理解されます。特に四月の時点では、はがきの抽選に漏れた申し込み者が千人を超える状況であり、現在もその状況は変わっていないとお伺いしています。景気が一向に回復されない現在、どれだけ特別枠融資が区民、事業者に期待されているのかわかりません。何とか歯を食いしばって頑張っている中小企業事業者に引き続き支援の手を差し伸べていただきたいと思います。第二弾、第三弾の事業の再開、継続を望むものであります。区長のご所見をお伺いいたします。  公園は、明治時代に公園制度が取り入れられて以来、行政の管轄する施設という意識は住民、行政どちらにも強い。公園の多くは、その成り立ちから昔の大名屋敷、寺社境内だったので、地域住民が公園の計画に参画していないので、どうしても受け身の意識が強いものがあります。公園はお上がつくったものだと考えられてきました。多くの公園はキャッチボール禁止、芝生に入らないでなど、やたらに禁止条項が多く、触れることができない。どうしても公園と利用者の距離の遠さを感じています。公園と利用者との距離があればあるほど、ダスト舗装に固定遊具という公園になってしまいます。都市化による空間がどんどん都会から消えていく今、唯一残された公園緑地は本当に地域住民にとって都会のオアシスであります。  文部省の中教審小委員会の中間報告を読みますと、家庭での「心の教育」、充実を求めています。遊びの重要性を再認識しよう。自然の中で伸びやかに遊ばせよう。遊びが特に幼児期から小学生段階で大切なことを認識しよう。友だちとの遊びや異年齢集団での遊びを大切にしよう。子供の生活に時間とゆとりを与えよう。知育に偏った早期教育は心の成長をゆがめることに気付こう。私立幼稚園の総会で園長先生のお話の中に「最近の幼児の傾向として、母親から園に来ても離れない。ふだんから土で遊ぶ習慣がないから園庭を怖がる。住宅環境が高度化している影響がある」。このように大人にも必要ですが、子供にとって公園などの自然環境がいかに必要なのかを説明しています。  東京都の二十三区だけを見ても、こんな公園が欲しいという要求と住民運動がありました。例えば世田谷区の「ねこじゃらし公園」、同じく「羽根木公園」、大田区の「くさっぱら公園」、その他特色のある公園はかなりあります。港区も我が会派をはじめ、各会派から緑についてや公園など環境に関する熱心な質疑があり、組織替え以前の土木部の「環境問題に対する役割と環境に関する意識によって土木行政を進める」という答弁がありました。私の知る限りでも三田台公園、港南三丁目のママさん公園、笄公園などそれぞれ特色のある小公園があります。特に平成元年ごろ、笄公園の下水道工事に伴う公園を整備復元するときに、土からダスト舗装に変更することを地元住民が知り、幼・小・中PTA、町会組織などを動かし、「笄公園、それは学校と地域の宝です」「自然を守れ」「緑を育てよう」と結束して、当時の山田区長に要望書を提出しました。要望書には子供の作文、スケッチなども添えられていたそうです。こうした運動が区を動かし、話し合いによって計画変更をして、もとの土の舗装と緑地化を保つことができたそうです。  行政にとって住民のさまざまな要望を聞きながら事業を進める上で、公園を草っ原という若い世代の要望があれば、隣のマンションの住民から虫がわくから雑草をとってなど世代間による考えの違いをいかに行政の中で事業として進めていくかは今後も大きな課題であろうと思います。大田区の「くさっぱら公園」の運営委員会の打ち合わせの会を聞くことができましたが、行政はどうしても画一的な管理しやすい公園にしたいのが本音であります。それに対して地元住民の会は、最初は行政に多くの申し入れをしてきましたが、余り実効が上がらなかった。七年前に会を設立して公園に対する世代間のギャップを話し合うことで人間関係をつくってきた。公園を樹木などの伐採をせずにできるだけ機材の導入をせずに自然を保つ努力をしていくという話をしていました。区行政と住民の協力によって、地域の中でどのようなビジョンを描いていくのかを問うものであると考えさせられました。  港区私立幼稚園PTA連合会から数年前に「子供の遊び場確保」に関する請願が出され、当時の文教委員会で採択され、今後は実行段階を迎えようとしています。街づくり推進部の道路公園課として理想と現実のはざまの中に今後の施策を進める上で、地域住民と今まで以上、密着した行政を心がけてほしいと思います。住民の意向を理解できる若い職員を育て、港区として特色のある公園づくりを目指してほしいと思います。今後の少子・高齢時代を迎え、港区の公園、児童遊園、緑地や低未利用地など規模の拡大を図るべきと思います。また、都有地等の連携をとり、公園の面積を拡大することで世代間の利用の問題を解決できるのではないかと思います。  以上のことについて、区長としてのお考えをお伺いいたします。  以上のことから、今後、区立公園改修等について、地域住民の意見を計画段階から取り入れるべきと考えるが、いかがでしょうか。また、自然に近い草っ原や芝生にするとか、土にするとか、その地域に合った公園づくりをすべきと思うが、いかがでしょうか。お伺いいたします。  教育環境の整備についてお伺いいたします。  港区は、業務地化の進行に伴い、昭和六十年代に入り、急速に定住人口が減少しました。定住人口を確保するための住宅建設をはじめとする区のさまざまな努力もあって、現在、港区の人口は比較的安定して推移していますが、年少人口は合計特殊出生率(平成元年一・二七、平成五年〇・九、平成七年〇・八九)の低下に伴い、今後、顕著に増加すると望むことは厳しい状況にあると言わざるを得ません。すなわち横ばいと見る方が現実と考えます。そのような観点から見た場合、今般、教育委員会が区立幼稚園で望ましい教育環境を実現するため、適正規模の確保を主眼とする「区立幼稚園の新しい配置計画の基本方針」の案をまとめ、関係者の忌憚のないご意見を聞きたいとして発表したことは、今日、幼児人口が減少したこの港区ではやむを得ない措置だと考えております。  私としては、教育委員会の決断は今日まで待ちかねていた思いがあります。自民党が従来より幼児教育の環境整備のための統廃合を主張した方向と同じであり、一歩近づいたものと考えます。今、区内ではこの方針案についていろいろな議論がされております。保護者の代表であるPTA会長をはじめとする関係者と十分な話し合いをし、理解と協力を求める上でいろいろな議論を集約して、今後の区立幼稚園をより良いものとするための方向性を定めていただきたいと思っています。在園児、未就園児の保護者はもちろん、多くの区民、関係者の理解を得る中で、より良い案となるように願うものであります。この点について、教育長のご見解をお伺いします。  港区の年少人口は、既に昭和五十年代の後半から六十年代の初めにかけ、現実の問題として予測できたものであり、いたずらに時を過ごしてきょうに至ったということは否めません。私としては、御成門、赤坂地区の小学校の統廃合が行われた際に、ある程度の将来構想を区民に示し、議論をいただき、一定の考え方の合意形成に努めるべきとの思いを抱いておりました。特に御成門地区のこの十年間に及ぶ統廃合に費やしたエネルギーと負担は多大なものがありました。親の一人として、今振り返ると、道のりは苦労しましたが、新生御成門小・中学校を親と子でつくり上げたという充実感でいっぱいであります。そこが両校が支持を受けて多くの地域から入学希望者が多いのではないかと思います。  これまで教育委員会が小学校、中学校の統合について、保護者、学校関係者、地域と話し合いながら合意形成に努め、一定の成果を得てきたこと、その努力は何も否定するものではありません。しかしながら、区立の小・中学校の中には小規模化が既に顕著に見られる学校と、顕著ではないにしても、低学年の学級編成が単学級となってきている学校があることを私は憂慮するものです。私は、先ほど今後の港区の学齢人口は横ばいであると述べましたが、それは港区全体を見た場合のことであり、地域によっては非常に減少している地域が複数見られます。今日のような状況は、もはやこれまでとってきた手法では解決は困難であり、一刻も早く打開に向けた取り組みが必要と考えます。このような状況を考えた場合、やはり港区の小・中学校の全体を考えた一定の将来構想を検討するべきときに来ているのではないかと考えます。そこで、教育委員会として保護者の代表であるPTA会長をはじめとする関係者の皆さんと意見交換するなど、今後の港区全体の学校教育のあり方について検討することを考えているのかについて、教育長にお尋ねします。  ただ、私としては、千代田区方式、いわゆる公共施設適正配置計画の考え方と異なる港区方式、すなわち話し合い方式を継続する中で一定の方向を定めることを期待したいと思っており、この点を含めてお答えいただきたいと思います。  次に、区域外施設の協同運営の可能性についてお伺いします。  平成九年第四回定例会で我が会派の島田議員が、伊豆健康学園について区の財政の観点から福祉・教育への投資効果を考え、再検討の提案をしました。入園希望者がさらに減少したら、廃止を含め、しかるべき施設への委託教育の検討などの質問がありました。このように小学校の児童数の減少(昭和五十五年度比四〇%)を考えた施設利用の立場から見ると、効率がどんどん低くなっているのが実情であります。このような状況を背景とした健康学園の共同運営について再検討するべきと考えますが、教育長のご見解をお伺いいたします。  高原学園については、ほとんどの区で複数の施設を所有しており、共同化すれば、利用者にとって利用できる施設の選択の幅が広がること。共同化による子供たちの交流が広がるなど教育上の利点があると考えますが、この点についてもお伺いいたします。  これで質問を終了いたしますが、汐留も計画が本格化され、民放各社が港区に集中することで、世界の情報発信基地として港区の役割はますます重要なものと考えます。こうしたことを考えると、自由民主党の責任は大きなものがあり、七月の参議院選挙に向かって、一致団結をして戦っていく所存でございます。ご清聴ありがとうございました。   〔区長(菅谷眞一君)登壇〕 ○区長(菅谷眞一君) ただいまの自民党議員団を代表しての杉原としお議員のご質問に順次お答えいたします。  最初に、区財政の現状についてのお尋ねであります。  区は、平成八年度決算で経常収支比率が九六・六%となるなど財政の硬直化が進み、しかも、これまでのような財政運営を続ければ、毎年度百億円規模の財源不足が見込まれる状況にありました。こうしたことから区では、平成九年度を「財政構造改革元年」と位置付け、財政の健全化に全力を挙げて取り組んでまいりました。その結果、平成九年度決算では経常収支比率、実質収支が改善するものと見込んでおります。これは財政構造改革に取り組んできた成果であると考えます。しかし、経常収支比率は依然として高水準にあるなど、いまだ財政基盤は安定していないことから、なお一層、財政の健全化に取り組む必要があると考えております。  次に、納付金対策についてのお尋ねであります。  このたびの地方自治法改正により納付金制度が廃止されたことは大きな成果であります。しかし、新しい都区財政調整制度が実施されるのは平成十二年度からであり、十一年度までは現行制度により算定され、納付金制度も続くことになります。港区は、平成五年度以降、納付金を納めていませんが、現行の都区財政調整制度は自主財源比率が低いなど、港区にとって納付金が出やすい構造となっております。平成十年度については、地方消費税交付金などの動向次第で納付金の発生も懸念される厳しい状況にありますが、納付金が発生することのないよう、努めてまいります。  次に、特別減税の影響についてのお尋ねであります。  二回にわたる特別減税により、平成十年度の特別区民税は、十三億円程度減収になるものと見込んでおります。特別区民税の減収に対しては、減収補てん債の発行により補てんできることになっておりますが、ご指摘のように、減税補てん債のような赤字債は財政負担を将来に残すものであります。減税補てん債の発行につきましては、今後の特別区民税の収入状況、将来の公債費負担等を見極めながら、慎重に対応してまいります。  次に、都区制度改革の今後の取り組みについてのお尋ねであります。  半世紀にわたる自治権拡充運動の成果として、地方自治法をはじめとする関連法案が去る四月三十日、国会で可決、成立いたしました。改革の実現にご尽力いただきました区民並びに区議会をはじめ関係者の皆様に心からお礼を申し上げます。  今回の改革により、区は一般の「市」と同様に憲法上の「基礎的地方公共団体」となります。あわせて清掃事業や小・中学校の教科書の選定をはじめとする区民に身近な事務事業が東京都から区へ移管されます。今後は、港区としての独自性も考慮しつつ、平成十二年四月に向け、清掃事業をはじめとする事務事業の円滑な受け入れに万全の準備を進めてまいります。さらに、新たな都区財政調整制度の仕組みづくりに当たっては、港区としての特性を反映できるよう、全庁を挙げて取り組んでまいります。  次に、緊急特別枠融資制度についてのお尋ねであります。  中小企業の経営安定を図ることは、地域産業の活性化施策の基本的な柱であります。その中小企業の事業者の方々が長引く不況の中で、企業の存続をかけ懸命の努力を続けていることは、私も十分承知しております。そのための当面の対策として、年度末を乗り切るための「緊急特別枠融資」を実施いたしました。結果は、融資を希望する方々が殺到するなど、反響の大きさは予想を越えるものであり、緊急の措置としての効果があったものと受け止めております。しかしながら、なお、景気回復の兆しの見えない現状から、今後も引き続き融資の充実を図る必要がありますので、特別枠融資の再度の実施に向けて検討してまいります。  最後に、公園整備のあり方についてのお尋ねであります。  公園は身近な公共空間であり、地域の方々のコミュニティ活動を支え、また、子供たちの情操教育の場としても重要な役割を果たしております。公園の整備に当たっては、地域の特性や年齢構成の変化を踏まえながら、地元の意見を取り入れ、地域に根ざした親しみのある公園づくりに取り組んでまいりました。本年五月に策定した「港区の子育て支援策」の中で、子供自身が健全にのびのびと育っていくための環境づくりが求められております。今後とも、安全な遊び場の確保と、自然環境の回復など自然が体験できる公園づくりに努めてまいります。  よろしくご理解のほどお願いいたします。  教育にかかわる問題につきましては、教育長から答弁いたします。   〔教育長(中村勝弘君)登壇〕 ○教育長(中村勝弘君) ただいまの自民党議員団を代表しての杉原としお議員のご質問に順次お答えいたします。  最初に、区立幼稚園の新しい配置計画の今後の取り組みについてのお尋ねであります。  教育委員会は、本年五月、区立幼稚園の新しい配置計画の基本方針(案)を決定いたしました。その後、幼稚園の保護者や区民、関係者への説明会等を通じて、さまざまなご意見、ご要望をいただいております。新しい配置計画は、保護者や多くの区民、関係者のご理解とご協力が必要と考えております。教育委員会としましては、今後とも幅広くご意見をお伺いする場を設け、保護者や区民、関係者のご理解をいただきながら、基本方針及び配置計画を策定するよう努めてまいります。  次に、区立学校の配置等の将来構想についてのお尋ねであります。  教育委員会は、これまで区立学校について、学校や地域関係者のご理解とご協力を得ながら、教育環境の整備に努めてまいりました。ご指摘のとおり、現在、小規模な区立学校が存在することも事実であります。区立学校の将来を見据えた適正規模・適正配置のあり方等については、PTA等学校関係者と意見交換をする中で、従来から行ってきました話し合い方式を基本として、今後とも望ましい教育環境の整備を推進してまいります。  最後に、健康学園・高原学園の共同運営についてのお尋ねであります。  健康学園の児童数が減少していることから、昨年度、都心四区で委託を含めた共同運営について検討してきました。しかし、運営体制の整備や経費負担の問題などがあり、早期に実現することは合意に至りませんでした。その後、各区においても児童数の減少などで健康学園のあり方の見直しを始めた区が数区あると聞いております。これら同じ問題を抱えている関係区と再度、共同運営や事務委託について協議を進めていきたいと考えております。また、高原学園の共同運営についてでありますが、高原学園は、各区の学校とも利用する期間が重なるなど、困難な課題はありますが、区域外施設の有効利用の観点からご指摘の点も踏まえ、検討を進めてまいりたいと考えております。  よろしくご理解のほどお願いいたします。 ○議長(真下政義君) 三十七番植木満君。   〔三十七番(植木 満君)登壇、拍手〕
    ○三十七番(植木満君) 平成十年第二回定例会に当たり、私は、港区民クラブを代表して、区政全般にわたり四点ほど区長に質問をいたします。明快なる答弁をお願いいたします。  なお、一部杉原議員の質問と重複する点がございますが、ご理解を賜りたいと存じます。  まず、第一点は、このたびの都区制度改革のうち、財政問題に関連して伺います。  都区制度改革は、長年にわたる区民の悲願でありましたが、五十年の長きにわたる運動の成果がようやく実を結び、去る四月、地方自治法等の一部改正する法律案が衆参両院ともに全会一致で可決され、成立いたしました。これにより特別区は、名実ともに基礎的自治体と位置付けられ、平成十二年度からは新たな制度のもとでの区政の舵取りが始まることになります。しかし、これですべてが終了したわけではありません。これまでは法律の改正に全力を挙げてきましたが、これからはいよいよ実現のための具体的な準備を進めていかなければなりません。制度改革により多くの事務事業を引き受けることになり、また、清掃事業の円滑な受け入れなどに万事怠りなく体制を整備する必要があります。事務事業の移管準備と同様に重要となるのが、新たな財政制度の構築と考えられます。住民に最も身近な自治体として、区民サービスを積極的に展開していくためにも新制度のもとでこれから長期にわたり事業を支えることになる。税財政制度を充実させねばならぬと考えます。そこで、税財政制度の改正について何点か区長に伺います。  まず、最近における大きな制度改革である「地方消費税」について質問いたします。  平成六年度の税制改革では、政府税制調査会において「地方分権を推進していくことは時代の要請であり、特に高齢社会の進展とともに、地域福祉の担い手である地方税源の充実確保が必要である」との提言を受け、地方消費税の創設が決定され、平成九年度から実施されることになりました。地方消費税は、平成元年度に創設されたところのこれまでの消費譲与税にかわるもので、税率が〇・六%から一%に増加するという実質的な財源の充実につながり、これまでの譲与税という形で消費税に付随する税でしかなかったものが、国の消費税から独立した形になったことに大きな意義があると思います。地方消費税は、導入後一年余りが経過いたしました。港区では、十年度予算に五十四億円の地方消費税収入を計上していますけれども、地方消費税の創設が、今後、港区の財政にどのような影響を与えるのか、区長の見解をお伺いいたします。  次に、都区制度改革における税財政制度の改正について伺います。  今回の都区制度改革における税財政制度の改正の主なものは、第一に、調整財源、すなわち市町村民税法人分、固定資産税、特別土地保有税を法律により固定化すること。第二に、都の一般会計からの総額補てんを廃止すること。第三に、納付金制度を廃止することとなっております。これは、特別区を一般の市並みに扱う証で、歓迎するところであります。  ところで、今回の三つの改正の中で、我が港区の財政運営に最も大きく影響するのは、第三の納付金制度の廃止であります。納付金の存在は内部団体としての性格を最も色濃く残したものであり、自主的な財政運営を阻害する要因となっています。幸いなことに、ここ五年間は納付金を納めてはいませんが、港区はこれまでに二百七十八億円もの多額の納付金を納めています。ただでさえ税の還元率が全国の最低水準にある港区としては、納付金の廃止は、今回の制度改革の中でも特に待ち望んでいたものであります。そこで、区長に伺いますが、納付金制度の廃止により、区の財政運営が具体的にどのように変わっていくのかをお答え願います。  次に、都区間協議に臨む区長の姿勢をお伺いいたします。  今回の改正では、税財政に関して、このほかにも起債制限の緩和や、税財源の移譲などが明らかになりましたが、詳細は政令や、今後の都区間協議にゆだねられております。特に都区財政調整制度は、これから都と特別区との当事者同士で詰める部分が多く残されております。これからまさに都と特別区の間で、そしてまた、特別区同士の間で調整が行われるのでありましょうが、私が心配するのは、平成十二年度を迎え、いざふたをあけてみたら、港区に大変不利な配分結果になってしまうのではないか、こういう点であります。  これまでの経緯を見ますと、都と区の関係は、建前上は対等な立場でありながら、区は都に押し切られてしまうのが実態でありました。また、特別区内においては、港区は、区税収入の多い二十三区中の少数派で、特別区間配分の協議の中で多数派に押し切られてしまい、港区に不利になるような結果になってしまうのではないかと心配するわけであります。財源配分に後悔を残さないためにも、区長はどのような姿勢で今後の協議に臨むのか。その決意のほどをお伺いいたします。  税財政制度に関連して、最後に「都市計画交付金」について伺います。  都市計画交付金は、特別区が行う都市計画事業を対象に交付されるもので、都市計画税を財源としております。そもそも都市計画税は目的税であり、都市計画事業に要する経費に充てるために課税するものでありますが、特別区には多くの都市計画事業があるにもかかわらず、ほとんど配分されていないのが実態であります。特別区の区域における都市計画税と都市計画交付金について、八年度の決算を見ますと、特別区全体で二千三百十九億円もの都市計画税の収入があるにもかかわらず、特別区への都市計画交付金はわずかに百十億円であります。税収の四・七%にすぎません。とりわけ港区においては、港都税事務所において二百十七億円もの税収がありながら、港区への交付額はわずか二億円でしかありません。税収と交付額を比較すると、百分の一の還元率にとどまっています。私は、特別区に対する都市計画交付金全体の交付額を引き上げるべきであるし、また、港区への還元率も特別区全体の平均並みに引き上げるべきだと考えております。区長のご意見をお伺いいたします。  第二点目は、中小企業融資についてお伺いいたします。  区長は、さきの第一回定例会において、「中小企業の経営基盤安定のための事業として中小企業に対する融資の充実に努める」と所信を表明し、その具体的な施策として、二月、三月、四月と三回にわたる緊急特別枠融資を実施されました。この緊急特別枠融資は、融資総額五十億円という従来にない大規模なもので、年度末を控え、しかも、長引く予想もしなかったこの不況にあえぐ中小企業にとって、まさに地獄に仏、タイムリーな力強い支援であり、大きな反響とともに、多くの事業者から感謝の声が上がっております。  実施に当たっては、借り手の負担軽減のため、港区として融資額の二・二%という大きな利子負担を伴うものであり、苦しい財政事情の中で「区長の大英断である」と高く評価するものであります。今まさに国においても矢継ぎ早の経済政策を発表し、景気回復に大わらわでありますけれども、その成果があらわれ、景気回復の波が中小企業にまで及ぶにはまだまだ時間がかかり、その間にもあすをも危ぶまれる事業者は港区内にひしめいております。街を歩いておりますと、小さな店が一軒一軒と姿を消して空き地になっていく姿が嫌でも目に入ります。区長は常々「地域経済を支え、地域活性化の原動力となるのは中小企業である」と申されております。その中小企業が、この厳しい状況を自ら打開し、不況の荒波を乗り切っていこうとしているとき、国の経済政策もさることながら、地元中小企業、とりわけ小規模企業にとっては地元港区の支援がまさに即効性のある栄養剤なのであり、カンフル剤なのであります。このことは、今回の緊急特別枠融資が実績をもって証明したとおりであります。  そこで、私は、景気回復の波の見えてこない今、中小企業への支援策として、もう一段の融資の充実を図るべきであると考え、この際、一つの提案をしたいと思います。さきの特別枠融資の実施状況を見ますと、借入限度額が一件当たり一千万円となっていたため、十億円の枠に対しては百二十件ほどのあっせんにとどまっていました。しかし、現実は小規模業者にとって、借入額は二百万円か、あるいは三百万円の単位でも助かるのであります。しかし、はがきによる抽選方式では当選の機会も少なくなります。そこで、小規模業者のために一件当たりの限度額を低く抑えた特別枠融資をご検討願えませんでしょうか。仮に限度額を三百万円とするならば、同じ十億円の枠で従来の三倍、三百三十件から三百五十件の対応が可能となるわけであります。たとえ額は小額でも、この急場をしのぐにはまさに貴重な資金であり、この不況の中であすへの望みをつなぐことができると思います。この際、小規模業者へさらにあと十億円規模の特別枠融資を実現していただきたいと存じますが、区長のお考えをお聞かせください。  第三点目は、介護保険の問題について質問いたします。  今、寝たきりなどで介護の必要な高齢者は、全国で二百万人いると言われています。今後、この数がさらに増えるのは確実で、介護の問題はますます深刻になると予想されます。そこで、二〇〇〇年から実施される介護保険制度は、公費によるサービス、介護保険料と利用者による一部負担金の問題など大きな変革が要求されるようになります。さきの第一回定例会でも要介護認定の客観的で公平な実施、介護サービスの基盤整備、人材の確保や施設整備の必要性が論ぜられたところであります。  そこで、私は、別の視点から一点だけ伺いたいと思います。介護保険制度では、六十五歳以上の高齢者、つまり、第一号被保険者は完全に個人単位で保険料を納めることになります。高齢者は子供に扶養されていたとしても、保険料を納めなければなりません。高齢者の夫婦世帯では二人分の保険料を納めなければなりません。これは高齢者世帯内の負担の公平化を図るとともに、高齢者世代も現役世代と同様に負担をしてもらうという趣旨と考えられます。一方、医療保険制度では、サラリーマン世帯の家族は年収が百三十万円未満、障害者及び六十歳以上では年収百八十万円未満であれば、保険料の負担はありません。また、自営業者世帯では、家族も被保険者となりますが、均等割の保険料を負担するだけであります。これに比べると、介護保険制度では高齢者の負担が高まることは間違いありません。  したがって、現行のサービス水準を介護保険導入後も維持し、かつ高める必要があると考えられます。しかしながら、介護保険制度では配食サービス等現行サービスの一部が含まれておりません。ところで、さきの予算特別委員会では介護保険制度の導入により保険料収入が約二十億円余り見込まれ、区の財政負担の軽減が予測されるとのことでありました。この財政負担の軽減は、高齢者などの負担によるものですから、当然浮いた財源は介護保険で定められたサービス以外の保健福祉サービスの充実に活用すべきであると考えますが、区長の見解をお聞かせください。  第四点目は、現在、港区が取り組んでいる「資源循環型清掃事業」の実現についてお尋ねいたします。  初めに、平成七年に着工した港地区清掃工場についてであります。港区は現在、区内で収集した可燃ごみは大井清掃工場をはじめ他の清掃工場へ持っていき、焼却しなくてはならない状況にあります。  ところで、港区のごみ量は『清掃局年報』によりますと、平成八年度、年間十六万トン、一日当たり四百三十トン、平成九年度は年間約十五万トン、一日当たり四百十トンとのことであります。現在、港南五丁目に建設中の清掃工場ができれば、当然、港区内から出される可燃ごみは、すべて港区内で処理ができるものと考えられます。計画によれば、清掃工場規模は一日の量三百トンの焼却能力の炉が三基建設され、そのうち一基は予備で、区内で収集する可燃ごみ処理能力は十分にあるとのことであります。また、公害対策についても最新の設備を備えていると聞いています。そこで、まず、清掃工場の工事の進捗状況と、今後、工場の稼働に向けての課題はどのようなものがあるかお尋ねいたします。  ところで、清掃工場建設に当たり、地元の方々からさまざまな要望が出されていると聞いております。例えば清掃工場に出入りするごみ収集車の運行経路や、あるいは歩行者及び自転車の安全対策についてであります。将来、工場完成後、港南大橋を通過するごみ収集車はピークの午前九時から十時にかけて延べ百五十台になると聞いております。私は、先日現場の状況を見ましたが、港南大橋は現在、車道と自転車の通行が分離されておりません。歩行者は途中で急に階段を使用しなければならない危険な状態にあります。安全対策上、区は将来どのような対応を考えているのかお尋ねいたします。  次に、地元還元施設についてお尋ねいたします。  芝浦の現スポーツセンターでの施設整備という考え方の基本構想ができてから既に一年以上が経過しました。昨年三月には、港南地域の住民から出された請願に沿って、港区議会としても港地区清掃工場建設に伴う還元施設建設に関する要望書を提出しております。これに関して、都と区はどのように対応してきているのかお聞かせ願いたいと思います。  次に、資源循環型清掃事業の実現に向けての区長の考え方をお尋ねいたします。  区長は、本年第一回定例会の所信表明で「平成十二年四月を目指し、東京都から移管を受ける清掃事業については、資源循環型清掃事業の実現に向けて積極的に取り組んでまいります。ごみの発生、排出を抑制するため、資源分別回収を拡大するとともに、港区にふさわしいリサイクルシステムの確立を目指してまいります」と、かように述べておられます。これは従来の出されたごみは収集運搬して、衛生的に中間処理をし、最終処分すればよしとする考え方から、地球環境の保全、限りある資源の愛護、ごみの減量という観点からリサイクルを中心とした資源循環型に大きく転換をする新しい社会システムの構築と考えられます。もちろん、行政だけで目的が達成されるわけではありません。区民一人ひとりがこの意識に撤して協力してこそ、目的に沿うことができるわけであります。そこでお尋ねしますが、現在、都が実施している清掃事業と区が実施してきているリサイクル事業とは、今後、どのように関連性を図りながら資源循環型清掃事業を実現していくのか。区長の見通しと考え方をお伺いいたします。  以上をもって私の質問を終わります。答弁によっては、再質問をいたします。ありがとうございました。   〔区長(菅谷眞一君)登壇〕 ○区長(菅谷眞一君) ただいまの港区民クラブを代表しての植木満議員のご質問に順次お答えいたします。  最初に、地方消費税創設の区財政への今後の影響についてのお尋ねであります。  地方消費税は、地方分権、地域福祉の充実等のため地方税源の充実を図る観点から導入されたものであります。少子高齢化が進展し、多様化する区民ニーズに的確にこたえていくためには、財源の確保が不可欠であります。ご指摘のとおり、地方消費税は区にとって財源の拡充につながります。今後は、安定した地方消費税交付金が期待できますので、地方消費税の創設は計画的な財政運営の基盤強化となるものと考えております。  次に、納付金制度の廃止に伴う区の財政運営についてのお尋ねであります。  港区は、数少ない納付区として、これまで最も多額の納付金を納めてきた歴史があります。私は、納付金制度については、あらゆる機会を通じて反対してまいりました。先般の地方自治法改正により納付金の廃止が決まったことは、これまでの区民並びに区議会の皆様の活動の大きな成果であると考えております。区では、かつて納付金対策が財政運営上の大きな課題となっておりました。平成十二年度以降はこうした納付金対策は不要となりますが、なお、今後、都区間での税財源配分の問題等で努力する必要があると考えております。  次に、都区間協議に臨む区の姿勢についてのお尋ねであります。  税財政制度は行政運営の根幹を支える制度であります。このたびの都区制度改革においても、住民主権を確立していくために、いかにして税財政制度を改革し、財政自主権を確保するかが重要な課題となります。そのため区では、港区制度改革実施本部の中に四月から新たに税財政部会を設置し、庁内を挙げて税財政制度の改革に取り組むことにいたしました。平成十年度は、都区間及び特別区相互の間で総合的な検証を行い、税財政制度の全体像を整理する重要な年度となります。区間配分についても、具体的に算定方法を改善することになりますが、都心区特有の需要が正しく反映された都区財政調整制度となるようあらゆる機会をとらえて主張してまいります。  次に、都市計画交付金についてのお尋ねであります。  都市計画交付金は、特別区が行う都市計画事業等を対象とした交付金であります。都市計画交付金のあり方については、現在、都区間において検討が進められておりますが、配分方法をめぐって両者の考えに開きがあり、いまだ整理されておりません。今後、具体的な検討に入りますが、区といたしましては、区の都市計画事業に見合った財源が適切に配分されるよう主張してまいります。  次に、小規模事業者への特別枠融資についてのお尋ねであります。  中小企業は、地域産業の中核として、地域計画を支え、区民の生活向上と定住化に大きな役割を果たしております。したがいまして、中小企業の経営基盤の安定のため、今後とも融資の充実に努めていく必要があると考えております。その際、特に小規模事業者に対する融資につきましては、ご提案のように実態に即した決め細かい対応ができるよう検討を進めてまいります。  次に、介護保険制度の実施と保険外サービスの充実についてのお尋ねであります。  高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けるためには、介護保険サービスやその他の保健・福祉サービスを総合的に提供していくことが必要であります。介護保険実施後の高齢者福祉サービスのあり方については、介護保険事業計画を策定するともに、介護保険対象外サービスの充実についても現行サービス水準を低下させることのないよう総合的に検討してまいります。  次に、清掃工場の進捗状況と今後の課題についてのお尋ねであります。  来年一月の完成に向けて、清掃工場の建設工事は順調に進み、現在約九〇%の出来高となっており、八月からは試運転を予定しております。清掃工場の稼働に当たって、ダイオキシン対策と操業協定が早期に解決しなければならない大きな課題であります。ダイオキシンについては、操業前後のデータと比較するため、区の要望によって東京都が事前の調査を実施する予定となっております。また、操業協定については、区民や関係団体の意向を十分反映させるよう東京都にさらに要請してまいります。  次に、港南大橋の安全対策についてのお尋ねであります。  清掃工場の建設に伴い、地元住民の安全確保のため、東京都へ港南大橋の交通安全対策について要望してまいりました。港南大橋の改善に当たっては、具体案を検討していく中で、地域の関係住民と話し合いをしております。この改善工事においては、ガードレールの設置により、車道と歩道等が分離されるなど、歩行者と自転車の交通安全対策は大幅に改善されます。今後とも、地域住民並びに通学する児童の安全確保に努めるとともに、地域環境の整備のため、引き続き努力してまいります。  次に、地元還元施設に関する対応についてのお尋ねであります。  区は、還元施設基本構想を策定後、港南地域住民の方々から出された請願、要望書の趣旨を踏まえ、話し合いを続けてまいりました。具体的には、東京都が行う港南四丁目の都営第三団地の建て替え計画の中で、港南地域住民の要望する施設整備の実現に取り組んでおります。しかしながら、内容、規模などで必ずしも住民との合意に至っていないのが実情であります。今後とも、地元住民の理解と協力が得られるよう、より一層努力してまいります。  最後に、資源循環型清掃事業の実現についてのお尋ねであります。  港区ではこれまで、環境保全・ごみの減量の観点から、分別回収、集団回収、拠点回収などのリサイクルの推進に取り組んでまいりました。今後は、東京都が実施している資源回収モデル事業の検証も踏まえ、清掃事業の中でリサイクルを位置付けていくことが重要であります。そのためにも、区民、事業者の理解と協力が不可欠であります。来るべき二十一世紀を見据え、清掃とリサイクルが一体となった資源循環型清掃事業の実現に向けて一層努力してまいります。  よろしくご理解のほどお願いいたします。 ○議長(真下政義君) 議事の運営上、暫時休憩いたします。                                       午後二時二十六分休憩                                        午後二時五十分再開 ○議長(真下政義君) 休憩前に引き続き、会議を再開いたします。  一般質問を続けます。二十一番風見利男君。   〔二十一番(風見利男君)登壇、拍手〕 ○二十一番(風見利男君) 一九九八年第二回定例区議会に当たり、日本共産党港区議員団を代表して、区長、教育長、議長にそれぞれ質問いたします。  質問に先立って、最近、港区議会でも論じられているアウトソーシング論について、我が党の見解を表明したいと思います。  アウトソーシング論とは、委託や派遣など、外部の資源を活用することによって人件費を浮かしたり、忙しいときは下請を使ったり、人を派遣させたり、暇なときはそれを断るなどの経営手法であります。これを自治体経営に当てはめれば、企業にとってニュービジネスになり得るとする考え方であります。簡単に言えば、「外部委託」によって経費を削減、当然サービスも低下することは明らかですけれども、それを行政施策にまで拡大しようというのが、今、財界の求める行政のアウトソーシング論であります。行政施策を民間業者に委託し、企業の新たなもうけ口を提供しようとするものです。  三菱総研相談役・牧野昇氏の著書『アウトソーシング』によれば、アウトソーシングの形態を1)垂直アウトソーシング(下請型)、2)人材アウトソーシング(派遣型)、3)機能アウトソーシング(横請け型)に分類しています。日本の伝統的な下請利用は、垂直アウトソーシング(下請型)に属し、最近目立つのは人材派遣型で、そこからさらに進んで、経営中枢部を除いて、多くの部分をまとめて外部化させる機能アウトソーシングの形態が広がりつつあると言っています。また、牧野氏は、「企業がアウトソーシングを採用する理由として、委託先が、1)給与などの人件費が低い。2)期間コストが低い。3)組織や人材の専門性が高く、労働生産性が高い。4)稼働率が高い。5)資本コストが低い」などの点を挙げています。  日本の産業構造はトヨタの「かんばん方式」に象徴されるように徹底した下請いじめで大企業が莫大な利益を上げる仕組みになっています。日本の産業構造は、親企業が一次下請を、一次下請が二次下請を、さらに三次、四次と続く形態であります。当然、下請といえども利益を上げようとするわけですから、下請に行けば行くほど低賃金、不規則な労働時間、身分の不安定や失業の危険などの形でしわ寄せを受けるのは、アウトソーシング企業の労働者ということになります。今、財界が新たなもうけのため、アウトソーシングという耳ざわりのいい言葉を使って、もっと大々的に下請、人材派遣などを活用しようということです。  港区議会でも「学校警備や給食調理などを民間委託せよ」との意見が出されていますが、これらは警備会社や給食産業などに新たなもうけ口を提供するもので、財界が展開している「アウトソーシング論」に沿ったものであります。  我が国の現状は、少子化・高齢化社会における公的介護保障や保育・教育の充実、ごみ・地球環境対策、防災、保健衛生など市場原理や民間任せでは解決されず、行政が責任を持って取り組むべき課題は増えこそすれ減ってはいません。民間委託がサービスの質を向上させず、委託先労働者の劣悪な労働条件に寄生したコスト節減でしかないことは、これまでの自治体の多くの事例を見れば既に明らかです。行政へのアウトソーシングの導入は、これらに拍車をかけることになります。  今、港区に求められているのは、政府・財界の求めるにせ行革に迎合することなく、大企業奉仕の再開発事業へ二〇〇二年度までに二百六億円の補助金、一台当たり四千九百万円もの地下駐車場問題などの抜本的な見直し、豪華過ぎると批判の強い区有施設建設等々、浪費とむだをなくし、簡素で効率的な行政運営に撤し、地方自治法の定めている「住民の安全、健康及び福祉を保持する」ことを区政の中心に据えることです。アウトソーシング論は、資本のあくなき利潤追求の理論であり、行政施策をもうけの道具にしようというものです。財界の求めるアウトソーシング論に加担するようなことはすべきではありません。  それでは、質問に入ります。  まず最初に、アメリカの軍事介入に自動的に参加する「周辺事態措置法案」など「アメリカ有事参戦法案」に関連して質問いたします。  橋本内閣は、四月二十八日、昨年九月にアメリカと合意した日米軍事協力の指針(ガイドライン)に基づき、一連の対米軍事支援法案、(「周辺事態措置法案」「自衛隊法改正案」「有事版日米物品役務相互提供協定」)を閣議決定し、国会に提出しました。ガイドラインは、アジア・太平洋地域での軍事的、経済的な覇権の確立を目指すアメリカの要求にこたえ、日米安保条約をこの地域での軍事干渉のための軍事同盟へとあからさまに衣替えすることを目指したものであります。今回の関連法案は、このガイドラインでの対米誓約を忠実に法制化し、アメリカの戦争と軍事干渉に日本が自ら参戦するための法案であり、まさにアメリカ有事での自動参戦法案とも言うべきものであります。  日本共産党は、憲法を幾重にも蹂躪し、日本とアジア・太平洋地域の平和を決定的に脅かすアメリカ有事での参戦法に断固として反対をするものであります。そして、この法案を阻止するため、広範な国民の皆さんとともに全力を挙げる決意を表明するものであります。  今回の法案は、日本に対する何らの武力攻撃がなくても、アメリカが海外で軍事行動を起こし、それを周辺事態だとすれば、日本が自動的に軍事行動に参戦する仕組みを法律で決めようというものです。日本国憲法は「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意」し、「武力による威嚇または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」、このようにうたっています。世界に誇るべき憲法です。  また、憲法第九十二条は「地方自治の本旨」をうたい、第九十四条では地方公共団体が「その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有する」と定めています。この規定に基づいて各地方自治体が独自に行政を執行しているのであります。アメリカ有事参戦法は、平和原則、国家主権と国民主権、地方自治と基本的人権など、憲法の平和的、民主的な諸原則のすべてを蹂躪するものであり、言いたいことはたくさんありますけれども、法案の中で地方自治体に関する問題点に絞って質問いたします。  「周辺事態措置法案」の第九条(国以外の者による協力等)は、「関係行政機関の長は、法令及び基本計画に従い、地方公共団体の長に対し、その有する権限の行使について必要な協力を求めることができる。」としています。それに対し、秋山防衛事務次官は「義務規定と認識」、江間内閣安全保障・危機管理室長も「自治体が政府の要請に従わない場合は、違法な状態と言える。」との見解を示し、自治体に「協力義務」があるかのような発言をしています。参議院での我が党議員の質問で、「協力を拒否しても強制する手段はない」ことが明らかになりました。交通情報通信委員会で我が党議員は、「地方自治体に協力を求めることができることを条文に定めている臨時石炭公害復旧法や野菜出荷安定法など主な法律の解釈について、通産省や農水省は『自治体に義務はない』と明言していることから、秋山次官などの発言はでたらめ」であること。「PKO法に『国以外のものに協力を求めることができる』とあることについて、当時の宮沢総理は『これはもとより同意のある場合でございまして、強制する方法はもとよりございません』と明確に述べている」ことを明らかにし、「ガイドライン関連法案も自治体に義務はないと考えるのが当然だ」と藤井運輸相に質問いたしました。藤井大臣は、「たとえ地方公共団体が協力を拒否しても、強制する手段は設けないと聞いている。それぞれの判断で協力に応じてもらうことを期待している趣旨だ」と答弁いたしました。  政府が発表した法律案に対し、自治体は強く反発しています。全国市長会のもとにある全国基地協議会と防衛施設周辺整備全国協議会は、四月二十日、橋本首相に「新たな日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の具体化に当たっての緊急要望」を提出。また、米軍基地を抱える十四都道県の渉外知事連絡会も「周辺事態に際して、我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律等の制定に当たっての地方公共団体の意向の尊重について」との緊急要請を四月二十七日に行いました。  五月十四日には、横田基地に関する東京都と周辺市町村連絡協議会が米軍の軍事行動に自治体を巻き込む「周辺事態措置法案」について危惧を表明する緊急要望書を橋本首相に提出いたしました。緊急要望書によれば、国会に提出された同法案に自治体の協力を求めることができる規定が設けられていると指摘。その上で、「地方公共団体に極めて重大な影響を及ぼす規定でありながら、今日まで政府から何ら情報提供及び意見聴取はなされておらず、基地を抱える地方公共団体として、一方的に地方公共団体の役割が定められたことに深い危惧の念を抱かざるを得ません」と批判しています。協議会は、法案の説明を求めるとともに、「地方公共団体の意向が十分尊重されるよう強く要望します」としています。  二十三区でただ一つ米軍基地、麻布米軍ヘリポート基地、ニューサンノー米軍ホテルを抱える港区の区長として、ま、非核平和都市宣言をしている自治体の長として「アメリカ有事参戦法案」に反対の意思を表明すべきです。特に「地方自治体への協力義務」については明確に反対すべきであります。その上で、二十三区区長会としても全国市長会などと同様、反対の申し入れを行うよう働きかけるべきです。答弁を求めます。  あわせて議長に質問いたします。議会として、「アメリカ有事参戦法案」に反対する意見書を提出すべきと考えますが、ご答弁をお願いいたします。  次に、「いきいき区政推進計画」と「財政構造改革指針」に基づく百億円の歳出削減問題と財源確保策について質問いたします。  区は、未曾有の財政危機を声高に言い、三年間で百億円の削減が必要と、福祉・教育・中小企業など、区民生活に直結する施策を情け容赦なく削減しています。区長が事あるごとに「やさしさと思いやるのある区政」と言いながら、高齢者の皆さんの生きがいとして大変喜ばれている福祉会館の各種教室の講師の謝礼の全額カット、なごやか食事サービスの削減、高輪台小学校の給食製パン自校方式の中止などに象徴されるように、福祉や教育・中小企業施策など、区民生活に直結する施策はばっさり削減する一方、使用料・手数料の値上げ、保育料の値上げ、学童クラブのおやつ代、ホームヘルパー派遣事業の有料化の拡大等々によって区民負担は増大しています。深刻な不況、消費税の引き上げ、医療費の値上げなどで苦しむ区民には負担増を強いながら、最大のむだ遣い、市街地再開発への補助金は聖域扱い。大企業が占用することで得る利益にふさわしい占用料への改正など財源確保策には極めて不熱心であります。大企業には甘く、区民には冷たい区政、全くやることが逆立ちしています。  財政構造改革一年目とした九七年度は、九六年度と比べて四十億円の削減としていましたが、実際には一般財源等充当経費で四十九億円の削減を強行しました。九七年度では、特別区民税が当初予算計上額よりも三十七億九千二百九十万七千円も増えています。特別区民税の増収分が削減計画の四十億円に匹敵しており、区が盛んに宣伝する未曾有の財政危機が偽りの危機であることが一層明らかになりました。そして、この増収分約三十八億円が区民の暮らしや福祉、教育施策に使われるのではなく、新たな積立金に使われています。九七年度では二十五億円もの積立金を増やしているのです。  「金融機関別基金預託状況一覧表」によれば、四月三十日現在、三百九億九千六百万円の積立金があります。今年度予算の特別区民税収入が三百三十八億円ですから、それに匹敵する金額が積み立てられています。このことは、民間企業で言えば、一年分の売り上げを貯金していることになります。これを未曾有の財政危機というのは偽りの財政危機であります。そのうち区債の返還に使うべき減債基金が三十二億円、財源不足などに対応すべき財政調整基金が約八十五億三千万円あります。また、今年度予算の歳入には計上されていない駐車場整備基金貸付金の返還金五億円、道路などの占用料改定による増収分が約三億二千万円、それだけでも八億円以上の歳入増になります。増収分の活用、減債基金には反対ですけれども、計画的な公債費への活用、財政調整基金の目的どおりの活用を行えば、今年度三十億円の削減は必要ありません。区民が長期不況、さらに消費税の増税、医療費の値上げ、消費不況で苦しんでいるとき、地方自治法の本旨に基づく区政運営に撤するべきであります。  「いきいき区政推進計画」、「財政構造改革指針」に基づく百億円削減計画を見直し、地方自治体が第一にやるべき仕事である地方自治法第二条で定める「住民及び滞在者の安全、健康及び福祉を保持すること。」に従い、区民の税金は福祉や教育、中小企業施策の復活、拡充にこそ活用すべきであります。答弁を求めます。  次に、「いきいき区政推進計画」では聖域を設けないと言いながら、聖域扱いされている最大のむだ遣い、大企業中心の再開発事業の抜本的な見直しについて質問いたします。  市街地再開発事業について、港区は基本計画で二〇〇二年度までに六地区で二百六億円の補助金支出を計画しています。財政が大変というのであれば、大企業が中心の再開発などへの補助金支出の抜本的な見直しを行うべきであります。土地神話が崩れ、ゼネコンの抱える不良債権による経営危機は極めて深刻になっています。白金一丁目東地区再開発を進めている中心の長谷工は大変な状況になっていると報道されています。ある週刊誌によれば、債務保証予約が五千四百三十八億円余あり、有利子負債保証カバー率が九%、これは高いほどいいそうですけれども、ということであります。また、別の週刊誌では、「最新格付け情報」として「建設七社・自力の不良資産処理は困難」と書かれ、長谷工コーポレーションは会社の信用力を示す長期優先債務格付けについて、BBマイナスからBに格下げになっています。このことは業界でも大きな話題になっており、大きなプロジェクトはできないのではないかということも言われています。  白金一丁目東地区の再開発事業はこれからという段階であります。区民を巻き込んでスタートして、後で開発がだめになりました。こういうことになれば、泣きを見るのは区民であります。区民の財産と生活を守るためにも現在の状況をしっかりと掌握し、撤退も含め抜本的な見直しに着手すべきであります。あわせて区内全域の市街地再開発事業の抜本的な見直しを行うべきであります。それぞれ答弁を求めます。  次に、財源確保策について質問いたします。  第一に取り組むべき問題は、道路占用料などの改正についてであります。今年の四月から道路占用料条例が改正されましたが、大企業が占用することで得る利益から見て大幅に軽減されています。電柱の占用料が四千九百六十円に改定されましたが、港区平均の固定資産税評価額で計算すると、占用料の計算基礎の使用料率が百分の四から、百分の二・六に三五%も軽減された上で、なおかつ一本当たり二万九千円となり、現在の四千九百六十円と比べて六分の一という大変優遇されたものとなっています。  港区平均の固定資産税評価額で東京電力、NTT、東京ガス、東京通信ネットワーク四社の道路占用料を計算すると、四十五億円の増収になります。一年間です。三年間で百億円の歳出削減で区民の暮らしや福祉、教育施策の大幅な削減を強行している中、大企業が占用することで得る利益にふさわしい占用料に改定すれば、削減分以上の増収となります。特別区土木主管課長会で「都と区の関係が変化するに伴い、二十三区が都とは別個に料金設定することも検討する必要がある」との確認がされているとのことですが、都心区である港区が「改定する立場に立つ」こと抜きには、二十三区の合意にはなり得ません。庁内で関係部門を中心に検討会を設置するなどして、早急に改正を図るべきであります。  第二の問題は、区債の繰り上げ償還、区債の借り換え問題であります。  この問題も我が党が一貫して主張し、他の会派の中でもこのことについて発言する人も出てきています。このような中、二十三区財政担当課長会の中に各ブロック代表の課長一名と担当者一名の十名で構成する縁故債等研究会が発足し、今年度中には一定の結論を出すことになったそうです。港区の財政課長もこの一員だそうであります。これは一歩前進だと思いますが、この研究会では縁故債にとどめることなく、区債の大部分である政府債の繰り上げ償還なども検討すべきであります。また、研究会での検討は大いにやるにしても、この結論待ちにしてはなりません。港区独自でも庁内の英知を結集して対応を図るべきであります。  第三に、国庫支出金の超過負担の解消問題についてであります。  区民要望に基づく施設建設を進めれば進めるほど、区財政を圧迫する基準面積や基準単価による超過負担、あるいは運営費などの超過負担による区財政への多大な負担が強いられています。例えば台場高齢者在宅サービスセンターの建設費は約十一億七千四百万円ですが、都と区の補助金をあわせても五千七百七十六万円、わずか四・九%にしかすぎません。また、台場保育園は建設費が約二億六千万円ですが、補助金はゼロ。御成門小・中学校の建設費は百十四億六千万円ですが、補助金はわずか十億円にしかすぎません。また、台場地域では、区民ホールをはじめさまざまな施設建設に総額四十五億円の税金を使いましたが、補助金は在宅サービスセンター分の五千七百七十六万円、わずか一・三%というひどい実態です。保育所の運営費を見てみると、一九九五年度決算の数字ですが、歳出総額約三十三億円ですが、国庫負担金は約二億円、六・四%にしかすぎません。これだけでなく、すべての分野で同様の超過負担が強いられています。  ところが、建設省の再開発では補助対象事業の二分の一の補助、道路事業は実額清算主義で約二分の一が補助金として支給されています。このことで明らかなように、やる気になれば国庫支出金は出せるのであります。超過負担による区財政への影響は多大なものにもかかわらず、これを放置し続けてきた責任は重大であります。国庫支出金の超過負担の解消、確保策は区の財源確保にとって極めて重要な課題であります。  昨年十月七日、予算課から提出された「歳入確保策について」の中でも、国庫補助金・都補助金をより多く確保できる事業内容の工夫、超過負担等の解消に向けた努力が位置付けられています。また、毎年二十三区区長会で国へ出している予算要望の中でも重点要望としています。要望書の説明資料によれば、一、国庫補助金・負担金にかかる特別区の超過負担の額は多額になっている。中でも保育所の運営費にかかる超過負担が著しく、多大な財政負担になっている。このような超過負担が生じる原因としては、国庫基準単価が低いこと。補助対象範囲が不十分で事業の実態を十分反映していないことなどがある。このため、超過負担の解消を速やかに図り、地方財政への負担転嫁とならないよう抜本的な改善に努める必要がある。超過負担の例として、公立保育園運営費、公立学校施設整備費等々が挙げられています。  また、二として、現在、公共施設の建設においては、用地取得、施設建設計画の作成、建設工事等一連の事業は複数の年次にわたる例が少なくない。したがって、国庫補助の運用に当たっては、数年次にわたる事業についても弾力的に措置すべきである。  三、用地取得が困難なことや、住民ニーズの多様化などを背景として、特別区では、従来にも増して公共用地の有効活用、施設の高度利用が求められている。そのため、複数の施設機能を組み合わせたいわゆる複合施設の建設を促進する必要がある。一方、これに対する国庫補助制度は、基本的には単独施設の建設を念頭に置いた制度となっているので、複合施設を建設する場合にも適合する改善を図る必要がある。これは一部ですけれども、このように説明しています。要望書のとおりだと思います。  しかし、一九七七年度予算要望から毎年要求し、一九八一年度からは毎年重点要望になっていながら、依然として改善されていません。地方財政法第二条第二項、地方財政運営の基本は、「国は地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行ってはならない。」とし、第十八条、国の支出金の算定の基礎では、「必要且つ十分な金額を基礎として、これを算出しなければならない。」と規定されています。法律から見ても国のやり方は大問題であります。引き続き二十三区区長会としても要望書の実現に努力すべきであります。  また、区長会要望だけでは解決していないわけでありますから、自治権拡充の運動のように、区民・議会・行政が一体となって長年運動した結果がやっと実ったわけですから、この運動を教訓に超過負担の実態を区民の前に明らかにし、区民の世論と運動で国に超過負担解消を迫っていくべきであります。
     財源確保策についての第四の質問は、都区制度改革に伴う財源の確保についてであります。  区民、議会、行政が一体となった自治権拡充の運動が実り、二〇〇〇年四月から港区も都の内部団体から基礎的な地方公共団体として市並みの権限を持つ自治体となります。しかし、事務事業の移管や財政問題など残された課題もあります。とりわけ財政問題は極めて重要であります。本来、市町村税である固定資産税や市町村民税法人分、特別土地保有税が調整税となります。現在、そのうち四四%が調整分になっていますが、清掃事業をはじめ、さまざまな事業が区に移管されることになり、四四%が何%になるのか、区の財政運営上、極めて重要な課題であります。  本来、東京都の責任で二十三区に支払うべき一兆二千億円を超える繰り延べ措置などによる影響額が、区長会によってあいまいなまま決着をしました。これからの二十三区側の財源確保に当たっては、都側の意見に従順ではなく、区側の事務事業に見合った財源確保は当然のことであり、二十三区側の財源確保についての正当性ある主張を裏付ける理論の構築が急がれます。庁内での検討も急ぎ、それを第一ブロックに広げ、二十三区全体の意見となるようにすべきであります。それぞれについて明解な答弁を求めるものであります。  次に、公社問題について質問いたします。  四月からスポーツセンターをはじめとした運動施設、生涯学習センターなどの教育施設の管理運営が「ふれあい文化健康財団」に移行し、「スポーツふれあい文化健康財団」として大幅に拡大されました。我が党は従来から公社の設立は、1)地方自治体のやるべき仕事の放棄による区民サービスの低下を招く。2)サービスの有料化につながる。3)職員の権利剥奪と労働強化につながる。4)職員の分断につながる。5)一部幹部職員の再就職先づくり。6)区財政への多大な負担につながる。7)区民の代表である議会の関与がなくなってしまうことなどを明らかにし、公社化はやめて、区が直接の施策として行うべきことを要求してきました。  しかし、菅谷区長は「スポーツふれあい文化健康財団」をスタートさせ、その拡大を図っています。スポーツふれあい文化健康財団にしても、住宅公社にしても、従来から区が行政施策として実施していたものを委託し、それを運営するのも区の派遣職員と区派遣の非常勤職員にすぎないのであります。それだけではありません。公社化によって余分な税金を使ったり、公社化したために、港区が直接やっていれば、やる必要のない仕事までやらなければならないのが実態であります。  スポーツふれあい文化健康財団は、区派遣常勤職員六十七名、区派遣非常勤職員三十三名、財団の固有職員(体協からの職員)二名、職員総数百二名の大所帯であります。予算面で見ると、十年度港区の予算では、補助金十億二千十四万円、委託費四億八千五百九十七万四千円、合計十五億六百十一万四千円。出損金五億円。理事会、評議員会の費用弁償七十一万四千円。  住宅公社の場合は、区派遣職員の常勤職員十一名、区派遣非常勤職員二名、固有職員(事務局長・常務理事兼務)、この方は区の退職職員ですけれども、総勢十四名で運営されています。十年度港区の予算では、補助金四億九千百七十五万九千円、委託費一億千百四十四万八千円、合計六億三百二十万七千円。出損金六億円。貸付金四十億円。事務局長(退職職員)の人件費、年間八百十五万七千円。理事会・監事・評議員の費用弁償六十万円。文字どおり第二区役所そのものであります。  ところが、具体的な事業内容や予算・決算などは区議会が関与できない仕組みとなっています。冒頭でも指摘したように、公社を設立したことによって、行政が直接やっていれば、やる必要のない新たな仕事や予算が必要になっています。例えば予算・決算、事業計画等の承認や意見を聞くための理事会や評議員会を開催しなければなりません。理事会、評議員会のための資料作成や資料の郵送などの仕事が必要になります。事務局長の人件費や理事、評議員の費用弁償を支払わなければなりません。また、独自に事務所を構えるため、コンピューターなどの設備・備品等を備えなければなりません。例えば住宅公社の九七年度決算の中での一つの例ですが、情報提供事業として「すまいの図書館」を設置していますが、運営費が百五十九万四千二百九十三円ですが、そのうち図書購入費が二十五万二千十四円、残りの百三十万円は書架やいす、テーブルのリース料金というのですから驚きです。図書をそろえるのは悪いことではないにしても、図書運営費のためにリース料が八六%にもなる。こんなおかしなことで余分な税金が使われています。さらに施策のほとんどが再委託であります。  スポーツふれあい文化健康財団の場合、港区からの施設管理運営委託費が四億八千五百九十七万四千円ですが、それが民間業者などに再委託されており、その額は三億千七百十一万四千円です。委託費の六五・三%が再委託というのが実態であります。公社をつくったために財政的にも余分な出費、仕事上でもやらなくてもよい余計なことまでやらなければならないという大きな矛盾が発生しています。  我が党が従来から指摘したとおりのことがいよいよ一層明らかになっています。我が党が公社問題を質問すると、区長は「行政と公社との役割分担に従い、行政の責任を踏まえ、より一層区民サービスの向上に努力する」旨の答弁に終始しています。そこで具体的に質問いたします。  第一に、公社設立によって、区施策としてやっていたときより、さまざまな形で余分な経費支出があると思いますが、そのことをはっきりと認めていただきたい。第二に、区民サービスの向上と言いますが、行政がやっていては区民サービスの向上ができないという根拠を明らかにしていただきたい。第三に、最初に述べたように、公社がやっている施策は、区が従来やっていた施策そのものを移管したにすぎません。地方自治法で定められた地方自治体の責任でやるべき仕事そのものでありますから、これ以上のむだ遣いはやめて、スポーツふれあい文化健康財団、住宅公社は解散し、区の施策に戻すべきであります。それぞれについて答弁を求めます。  次は、談合を防止し、透明性を確保するための契約問題について質問いたします。  公共事業は高過ぎる、もうかる。公共事業をめぐる汚職事件、談合疑惑が後を絶ちません。それだけもうけが大きいことの証明とも言えます。今まで港区でも心身障害者福祉センターの基本実施設計、箱根大平台保養施設建設の入札をめぐって談合疑惑が新聞などで報道され、指摘されたとおりの業者が落札をしています。また、最近の新聞報道によれば、スポーツ施設建設などの公共事業をめぐる談合は全国に広がっています。陸上競技場やサッカースタジアム、学校運動場等々談合で落札された工事は、一九九〇年から五年間で約五百三十件、落札価格の総額は約二百八十七億円にもなっているとのことです。この中には一九九三年八月の青山グラウンド整備工事、二億四千四百万円、一九九五年七月十七日に入札・落札された区立麻布小学校校庭舗装その他工事、三千三百万円も談合との指摘がされています。これまでも疑惑が報道された際には、入札予定業者を呼んで談合の事実を聞き、誓約書を提出させていますが、業者が談合しているなどというわけはありません。行政の透明性からしても、談合などの疑惑が指摘されること自体が問題であります。  我が党はこれまでも公共工事における契約の透明性確保のための改善について要求してまいりましたけれども、一向に改善されません。区の談合問題に対する認識、区民の貴重な税金を使っているとの認識の欠如があるからにほかなりません。  二月四日に中央建設審議会から関係各庁に対して建議、「建設市場の構造変化に対応した今後の建設業の目指すべき方向について」が行われました。それによれば、「予定価格の事後公表に踏み切り、具体的な方法等について検討を開始すべきである。」とし、「予定価格の事前公表についても、予定価格を探ろうとする不正な動きを防止する効果もあるとの指摘もあることから、予定価格の上限拘束性のあり方とあわせ、今後の長期的な検討課題」とすべきとしています。それらの動きの中で、四月一日、建設省建設経済局長と自治省行政局長名で「地方公共団体の公共工事に係る入札・契約手続き及びその運用のさらなる改善の推進について」との文書が都道府県知事あてに送られています。それによれば、予定価格の事後公表については、「不正な入札の抑止力となり得ることや、積算の妥当性の向上に資することから、予定価格の事後公表を行うこと。また、コストの内訳とあわせて公表することについても検討すること」としています。  東京都は五月十五日、「公共工事における入札・契約手続きの透明性をより一層向上させるため」として、予定価格を入札後に公表することを決めました。同時に、工事費積算に使われる設計材料単価、設計労務単価も公表します。予定価格の事後公表は、六月一日から八千万円以上、七月一日からは二百五十万円以上のすべての工事が対象となります。また、事前公表については、今後引き続き検討していくとしています。設計材料単価や設計労務単価などの公表は、下請業者への不当な単価切下げを防ぐことにもなります。この間、全国各地で入札問題の改善についてさまざまな取り組みが行われています。港区でもこれ以上手をこまねいているときではありません。公共工事の低減化、談合をなくし、公正を期す、入札の透明性のため具体的に質問いたします。  第一に、入札前に談合疑惑が生じた際は、入札のやり直しを行うこと。第二に、一定信頼できる談合情報が公になり、情報どおりの業者が落札した場合は、談合があったものと推定して入札のやり直しを行うこと。第三に、談合情報の信憑性の判断など、具体的に入札に対する対処方法を判断する強力な権限を持った第三者機関を設置すること。第四に、予定価格、設計金額などの事前公表を行うこと。第五に、最低制限価格は、積算書の事前提出とあわせ、手抜き工事をチェックする体制を整えた上で廃止すること。第六に、当面、「低入札価格調査制度」の導入を行うこと。それぞれについて、具体的かつ明確な答弁を求めるものであります。  次に、介護保険法に関連した質問であります。  介護保険法は二〇〇〇年四月実施に向けて、港区でも準備が始まりました。現在、港区では特養ホーム入所者五百七人と高齢者福祉手当受給者八百八人、ホームヘルパーの派遣世帯が七百五十一世帯、痴呆性の方の人数は掌握されていませんし、病院に入院している方々の人数も掌握されていませんので、正確な数字は明らかではありませんが、特養ホームの入所者、寝たきり手当受給者、ホームヘルパー派遣だけでも二千六十六人の方々が介護を受けています。  港区の高齢者人口(六十五歳以上)は、九八年一月一日現在、二万六千二百五十五名で、これから毎年千八百人から二千人増え続けていきます。地域福祉計画によれば、二〇〇四年度一月時点での寝たきり等高齢者の推計値は、寝たきり千四百二十三人、虚弱二千四百二人、痴呆性千四百九十八人となっており、何らかの介護が必要な方は五千三百二十三人と推計されています。介護保険法施行にあわせて港区のとるべき責任は極めて重大になっています。港区が介護保険法施行までに対応すべき課題については、第一回定例区議会での熊田議員の代表質問で明らかにしました。また、五月十一日に開催された「介護保険と市町村の役割」についての学習会でも区の果たすべき役割、今後の課題が明らかにされました。いつでも、だれでも、どこでもサービスが受けられるように万全の準備作業と体制が整備されるような取り組みを行うこと。第一回定例会での「介護保険法に関する意見書」の立場が生かされるよう、引き続き政府などへの働きかけを強めることを強く要望しておきます。  今回の質問では、施設サービスに関連した問題に絞って質問いたします。基本計画に基づく地域福祉計画、基本計画より一年おくれの計画ですけれども、これによれば、特別養護老人ホームは二〇〇三年度までに六館、四百九十人、老人保健施設は二〇〇三年度までに百五十床、高齢者在宅サービスセンターは二〇〇三年度までに十館となっています。特別養護老人ホームは、現在、白金の森で九十床、港南の郷で九十床、麻布慶福苑で百床、ベル五十床と、区立と社会福祉法人立あわせて三百三十床ですが、四月末現在、三百九十六名の待機者がいます。これからの高齢化率を考えたとき、現行計画ではとても対応できません。  また、高齢者在宅サービスセンターは現在六ヵ所で、芝三丁目の計画以外はありません。特養ホームと在宅サービスセンターについては現行計画の前倒しを行うべきであります。また、現在の介護の必要な高齢者の実態と介護の必要な人の推計値に見合ったように地域福祉計画の抜本的な見直しが必要であります。準備作業に入っているそうですが、人員体制も含め、対応を急ぐべきであります。それぞれ答弁を求めます。  介護保険法の成立で施設サービスは特別養護老人ホームと老人保健施設、そして療養型病床群の三つのサービス体系となります。港区では不十分な点はありますが、特養ホームと、民間ではありますが、老人保健施設が建設中です。ところが、療養型病床群は区の計画にも全く触れられていません。現在、東京都は、各病院が療養型病床を設置する予定があるかとの調査を行っています。今まで世界的にもない六十九歳以下と七十歳以上の医療差別、日本のひどい実態が明らかになっていますけれども、診療報酬の改定でこれがさらにひどくなっています。四月から入院時医学管理料の平均在院日数の算定要件が強化され、十月からは看護料を届ける際の平均在院日数の要件が二対一看護の病院で、三十日以内から二十五日以内に強化されます。このことから、病院の経営を維持するためにやむを得ず二十五日を超えないように退院させられることにつながります。  また、入院期間が六ヵ月を超える老人看護料の大幅減額がされることから、高齢者の退院の強要が一層激しくなるでありましょう。今でさえ入院すると、次の病院を探すように高齢者は言われるわけでありますから、今以上に退院を迫られるケースが増え、行き場のない高齢者が増えることは目に見えています。介護保険法で療養型病床群が施設サービス機関に位置付けられているわけですから、保険者となる港区として、当然対応を図らなければなりません。当然のことながら、区内の医療関係者の協力をいただかなければならないわけですし、場所等々の問題もあるわけですから、区内医療関係者の意見を十分聞き、対応すべきであります。答弁を求めます。  最後に、区立幼稚園の統廃合問題について教育長に質問いたします。  五月十九日、港区教育委員会は「区立幼稚園の新しい配置計画の基本方針(案)」を発表いたしました。基本方針(案)は、現在の区立幼稚園二十園を五地区に一園と台場に一園の六園に統合するという内容で、七割も削減してしまうという、港区教育史上空前の削減計画であります。このことは港区教育委員会が幼児教育を放棄したに等しいものと言えます。こうなれば、小学校も中学校も拠点方式で六校にしてしまうことにもつながりかねない問題であります。  今回、基本方針(案)をつくるに当たって、父母や教職員など幼稚園関係者には何の相談も話し合いもせず、いわば教育委員会事務局が中心になってつくった一方的な基本方針(案)であり、内容は区立幼稚園の統廃合計画であります。このことが新聞報道された以降、「うちの幼稚園はなくなってしまうの?」、「区立幼稚園はいずれ全部なくなってしまう」、「私立幼稚園だけになってしまうのでは……」、「とても納得できない」など、保護者などの間には大きな不安が広がっています。「区立幼稚園の新しい配置計画の基本方針(案)」に添えられた文書によると、「この案について、関係者の忌憚のないご意見を求めていきたい」と言いながら、六月十六日には基本方針を決定するという強引なスケジュールで進めようとしています。「忌憚のないご意見を」との文書とは裏腹に、机上で港区の地図を眺め、この地域の真ん中はこのあたりと印をつけるやり方で、区民の声などお構いなしという教育委員会の姿勢がはっきりと示されています。  この間、「区立幼稚園で三年保育を実施してほしい」という大きな運動が広がっています。この運動が力となって、今回の基本方針(案)にも三年保育の試行について触れざるを得なくなっています。これは運動の大きな成果といえます。しかし、問題なのは、三年保育の実施と六園の統廃合は別問題であるにもかかわらず、三年保育の実施の要求にこたえるかのようなポーズをとりながら、それと引き換えに六園にしてしまおうというのです。とんでもありません。  六月二日、父母からの要望もあって、麻布区民ホールで行われた区立幼稚園の父母やこれから区立の幼稚園に入れたいというお子さんをお持ちの父母の皆さんへの説明会には約三百名の父母が駆けつけ、ホールがいっぱいになりました。ここでは、教育委員会の基本方針(案)に対し、「白紙に戻せないのか」、「教育委員会のごり押しではないか」等々、父母など関係者の声を全く聞かずに決めた教育委員会の一方的な基本方針(案)への怒りの声が沸き起こりました。  二十一世紀を担う子供たちの教育を考えたとき、このような重要な問題を関係者の意見も聞かずに決めたり、父母をはじめとする幼稚園関係者が十分に検討する時間的余裕もない短期間で決めるべきものではありません。議会側の意向、六月四日の区民文教委員会での委員長のまとめを十分に尊重した対応を行うことは当然のこととして、その上で具体的に質問いたします。  第一に、「区立幼稚園の新しい配置計画の基本方針(案)」については、白紙に戻すこと。第二に、区立幼稚園の配置については、父母やこれから区立幼稚園に入れたいと考えているお子さんをお持ちの父母、教職員など幅広い関係者との話し合いに基づいて基本方針(案)をつくること。それぞれについて、教育長の答弁を求めるものであります。  以上で質問を終わりますけれども、答弁によっては再質問をすることをあらかじめ通告して、質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)   〔区長(菅谷眞一君)登壇〕 ○区長(菅谷眞一君) ただいまの共産党議員団を代表しての風見利男議員のご質問に順次お答えいたします。  最初に、周辺事態措置法案についてのお尋ねであります。  「周辺事態措置法案」は、現在、国会で審議中であります。この法案の中には、周辺事態が生じた場合には、地方公共団体に対する協力要請規定が設けられるなど、住民生活や地域経済活動に影響を及ぼすものがあります。このため、渉外関係主要都道県知事連絡協議会は、四月二十七日、地方公共団体の意向の尊重について、内閣総理大臣等に緊急要請を行いました。  また、同協議会は、八月に要請する「基地対策に関する要望書」の取りまとめの中で、法案の具体化に当たっては、情報の提供と地方公共団体の意向の尊重を強く要望することにしております。区としては、基地対策に係る都区市町村会議を通じ、国に対し情報の提供と意向の尊重を求めてまいります。今後、自治体として自主性・主体性をもって対処していく考えであります。  次に、歳出削減計画の見直しについてのお尋ねであります。  「みんなといきいき区政推進計画」、「財政構造改革指針」は、行政改革を進め、最少の経費で最大の効果を上げるために策定したものであります。平成十年度予算は、財政構造改革第二年次目の予算として、限られた財源の中で区民に必要なサービスを提供するため、内部努力の徹底や歳入の確保に努めるとともに、事務事業を抜本的に見直しました。その結果、一般財源等充当事業費で三十億円の削減を達成し、財政構造改革指針の大きな目標の一つでありました「財政調整基金に依存しない財政運営」を実現しております。しかし、経常収支比率は依然として高水準にあるなど、いまだ財政基盤は不安定であり、安定した区民サービスを提供していくためには、なお一層、財政の健全化に取り組む必要があると考えております。  次に、再開発事業の見直しについてのお尋ねであります。  区は、「住み続けられるまち」の実現を目指し、安全で快適な市街地環境の整備や定住人口の確保を図るため街づくりを推進しております。白金一丁目東地区の再開発におきましては、住民主体の街づくりを推進するため、大小さまざまな地権者が勉強会などを通じて合意形成がなされております。市街地再開発事業を取り巻く社会・経済情勢の変化や事業の動向などを見定めていくことが重要であると考えております。このような状況を踏まえ、事業費の圧縮など創意工夫を凝らす中で、補助金の有効な活用を図り、市街地再開発事業の円滑かつ着実な推進に向けて、事業者を適切に指導してまいります。  次に、道路占用料の改定についてのお尋ねであります。  道路占用料は、道路を使用する対価であることから、固定資産税評価額を基礎として算出することが原則であります。平成九年一月の固定資産税評価額は減少傾向が顕著でありましたが、本年四月の道路占用料の改定は、このような中で現行の一・五倍を限度として引き上げたものであります。その結果、平成八年度決算額より約三億円余の増収を見込んでおります。従来から都区一体の占用料を設定したきた経緯もありますが、今後とも、区としての独自性が出せるよう、他の都心区と連携を図りながら検討してまいります。  次に、区債の繰り上げ償還、借り換えについてのお尋ねであります。  政府債については、昨年度、旧神明小学校用地について、財政負担の軽減と納付金対策の両面から繰り上げ償還をするなど、区としてもさまざまな取り組みをしてまいりました。また、縁故債については、本年五月から二十三区一体となっての検討を開始しており、この研究会には第一ブロックの代表として当区も参加しております。今後とも、庁内の英知を結集するとともに、二十三区一体として検討を進めてまいります。  次に、国庫支出金の超過負担の解消についてのお尋ねであります。  国庫支出金につきましては、単価の差、標準数値の差、規模の差などでの超過負担の問題があります。地方公共団体が直接・間接に不当な財政負担を強いられることは、地方財政法の趣旨からも大変遺憾であります。特別区区長会では、超過負担の問題に要望活動の開始当初から取り組んでおりますが、依然解消しておりません。今後とも、地方公共団体の財政自主権の確立、国と地方との財政秩序の確立などの観点から、超過負担の解消に向けて、区民の理解も求めながら、国等に働きかけてまいります。  次に、都区制度改革に伴う財源確保についてのお尋ねであります。  平成十二年度から都区制度改革が実施され、区では清掃事業等新たな事務事業が移管されることになりますが、事務事業に見合った財源を確保する必要があります。そのため、区では港区制度改革実施本部の中に四月から新たに税財政部会を設置し、財源確保等の問題に専門的に取り組むことにいたしました。今後、財源配分の方法について、都区間で協議していくことになりますが、必要な財源が確保できるよう、区での検討結果を生かしながら、他区とも共同して対応してまいります。  次に、公社の問題についてのお尋ねであります。  住民に最も身近な基礎的自治体である区にとって、区民福祉の向上は最大の目的であり、区は自らその実現のために事業や施設の管理などを行うことが原則であります。しかし、行政に対するニーズは複雑多様化しているのが現状であります。これらの課題を解決していくためには、区が直接執行し、実施することだけでは効率的な運営と適切なサービスの提供が難しい面もございます。区では、こうした諸課題に対応していくため、行政を補完し、民間の柔軟な発想による弾力的な事業運営を目指し、公社を設立しております。  公社の運営については、区から独立した法人として特別な経費が必要な部分がありますが、広告料などにより、それを上回る事業収入を得ております。また、既存の制度や行政の枠を超えた新しい観点から、機動的かつ弾力的なサービスを提供するなど、区民から好評を得ている事業も少なくありません。今後とも、区民の方々につくってよかったといわれるような公社となるよう努めてまいります。  次に、談合疑惑に対する対応についてのお尋ねであります。  区が発注する公共工事について、安全で良質な工事の執行を確保することは、行政の目的を達成する上で極めて重要なことであります。談合の事業が報道されるなど、談合疑惑が生じた際には、慎重に調査し、適切に対処してまいりました。入札に対する対処方法を判断する第三者機関の設置につきましては、談合情報の信憑性を確認するなど大変難しい問題と考えます。区としては、契約の透明性の確保に努めるなど、公正な入札が行われるよう、その方策について検討してまいります。  次に、入札予定価格の公表についてのお尋ねであります。  入札予定価格等につきましては、契約の透明性・競争性を一層向上させる目的から、公表の動きが高まっていることは、ご指摘のとおりでございます。区では、予定価格などの公表について検討することを目的として、港区建設工事等入札・契約制度検討委員会を設置し、当面入札予定価格の入札後の公表について検討を進めております。  次に、低入札価格調査制度の導入についてのお尋ねであります。  最低制限価格制度は、ダンピングによる弊害を防止し、また、一定以上の工事の質を確保するため効果があります。これに対し、低入札価格調査制度は、最低制限価格制度より望ましいと言われております。しかしながら、低価格の入札があった場合に、合理性の判断とそのチェック体制を整えることは大変難しく、最低制限価格の廃止は困難であります。今後、他の自治体の動向を見ながら、低入札価格制度について研究してまいります。  次に、特別養護老人ホーム、高齢者在宅サービスセンターの現行計画の前倒しについてのお尋ねであります。  特別養護老人ホーム及び高齢者在宅サービスセンターについては、港区基本計画に基づき整備に努めております。現在、基本計画及び地域福祉計画の見直しをしており、今後、財政状況等を踏まえて、施設を整備してまいります。  次に、地域福祉計画の改定についてのお尋ねであります。  現在の港区地域福祉計画を策定した以降も少子高齢化社会は一層進んでおります。その間において、国の策定した新ゴールドプランや障害者プランなどによる在宅介護を中心とした地域福祉体制づくりが求められております。区としては、見直しのための新しい組織を設置し、計画策定に当たっては、より実態を踏まえた計画になるよう策定作業を進めてまいります。  最後に、療養型病床群についてのお尋ねであります。  療養型病床群は介護保険の対象となる医療施設であり、バランスよく整備されることが望ましいと考えております。国及び東京都においては、一般病床の療養型病床群への転換を促進しております。計画策定の段階では区も関係医療機関の意向を調査して協力を求めてまいります。  よろしくご理解のほどお願いいたします。  教育にかかわる問題については、教育長から答弁いたします。   〔教育長(中村勝弘君)登壇〕 ○教育長(中村勝弘君) ただいまの共産党議員団を代表しての風見利男議員のご質問にお答えいたします。  区立幼稚園の配置計画についてのお尋ねであります。  新しい配置計画の基本方針案は区立幼稚園の適正規模の確保と、これに伴う適正配置及び三歳児保育の実施を柱として、これらについての教育委員会の基本的考え方を素案としてお示ししたものであります。今後、これをもとに幼稚園の保護者等、広く関係者のご意見をお伺いする場を設け、ご理解をいただきながら基本方針の策定に向け努力してまいります。  よろしくご理解のほどお願いいたします。 ○議長(真下政義君) 風見議員の議長に対する質問にお答えいたします。  いわゆる「周辺事態措置法案」などに反対する意見書の提出についてでありますが、ご質問にもありましたように、法案の中に地方公共団体に関する内容があり、関係者の関心を呼んでいることは承知しております。  私といたしましては、各会派の皆さんとご相談をし、ご意見を伺う中で対処してまいりたいと考えておりますので、よろしくご理解のほどお願いいたします。   〔二十一番(風見利男君)登壇〕 ○二十一番(風見利男君) 私の具体的な質問に対してひっくるめて答弁したり、いろいろあるのでやりたいことはたくさんあるんですけれども、何点かに絞って質問したいと思います。それ以外の問題については、これから常任委員会、あらゆる機会で質問していきたい。  最初の周辺事態措置法案に関してなんですが、麻布米軍ヘリポートの問題でも区長さんは、あるいは予算・決算で我々が質問したときに「渉外何とかを通じて国に要望している」と、従来はこういう答弁だったんですよね。ところが、区長さん自らアメリカ大使館に要請文を送ったり、直接やったわけでしょう。今回の場合は、アメリカが軍事介入するということになると、当然、麻布米軍ヘリポート基地も相手側からすれば攻撃の対象になると。こういう危険な中身なわけですね。最近の新聞報道を見ますと、ベトナム戦争でサリン弾を、今回、議案の中にサリン問題が出てきますけれども、サリン弾を使ってアメリカ軍の脱走兵とベトナムの兵士と民間人百人以上を殺したということがアメリカの報道機関で報道されたわけです。それだけアメリカ軍の横暴というのはひどいわけです。  二十三区の中で、残念ながら港区だけ米軍基地があるわけで、やはりここの区長がどういう態度をとるかということは非常に大事なことなんですね。協力義務も、協力してくださいという条文もあるわけですから、私は、渉外都府県の渉外の要望の中に入れることは当然ですけれども、そこ任せにしないで、きちっと区長の態度を、十五万区民の財産と命を守る立場にいるわけですから、そのことは明確にお答えいただきたいというふうに思います。  「いきいき区政推進計画」と「財政構造改革指針」に基づく百億円の削減の問題なんですが、なかなか財政が大変だということなわけですけれども、安定した区民サービスを提供していきたい。ところが、実際何をやっているかというと、区民の暮らしや福祉や教育施策が削られていると。この間の議会への請願を見ていれば、区長さんもわかると思うんですね。  問題なのは、先ほども質問の中で言いましたけれども、削減したに等しい額が特別区民税の増収で入ってきたり、今回の予算の中に増収分が計上されていないいろいろな問題があるわけです。ですから、そういうお金はきちっと区民のために使うと、そういう立場に立つかどうかというのが大事なことで、減債基金もそうでしょう。今、三十二億円あるわけです。これは平成十年度でピークになるわけですから、そのときにきちっと計画的に、この三十二億円、例えば三年間十億円ずつ使うだけで十億円の新たな区民の施策ができるわけですから、そういうことこそ区長に求められていると。  あなたは前回の選挙のときに、当選してきた後、四年間の区政運営について、「区民の皆さんからいただいた税金は区民の皆さんにしっかり使っていきたいんだ」と、こういうふうにお答えになっているわけですから、区民の皆さんは削らないでほしいということについては、しっかり財源措置をしてやっていくと。これが区政運営の基本に据えるべきだと思うんです。そのことはもう一度答弁をいただきたいと。とりわけ、きのうの夕刊でも、さらに経済企画庁が月例報告でひどくなっているわけでしょう。不況が一層深刻だと。こういう区民の生活にどうこたえていくかというのが今求められているわけですから、やはり百億円の削減計画ではなくて、皆さんの税金は皆さんのためにきちっと喜んでもらえる施策に使うと、こういうふうに切り換えていく立場を明確にしていただきたいというふうに思います。  財源確保策ではいろいろ言いたいことはあるんですけれども、超過負担のことについて一つだけ再答弁をお願いしたいと思うんですが、実態は、区長さん自身もご存じのように、答弁の中で述べていましたけれども、ただ、国に対する運動については、区民の皆さんの理解を得ながら引き続き要求していきたいと。私は、この実態を区民の皆さんに知らせることが今一番大事だというふうに思うんですよ。今度、障害保健福祉センターができましたけれども、あそこの住宅部分には補助金が出ていますけれども、障害者センター分については一銭の補助金も出ていないと。それも単年度事業ならつくんだけれども、建てるのに三年も四年もかかるので、それについては補助金が出ません。だから百十四億円かけて、補助金がわずか十億円ですよ。そういう実態を区民の皆さんは知らないわけですから、そういう実態を知っていただいて、一緒に区民の皆さんもぜひ、区長を先頭に国への要請行動や何かに協力してくださいと、こういうことが必要なわけですから、そのことについてしっかりとした答弁をいただきたいと。  もう一点、公社問題なんですが、私は、区長さんの答弁は、行政側が発想を転換すればできるということなんです。公社だからできるので、区ではできないということじゃないんですよ。ですから、しっかりとそこは、行政側が区民の皆さんの立場に立ってよりよいサービスをどうしたらできるのかという発想の転換が必要なわけで、ですから公社については、先ほど言ったように、出損金だけでも十億円行っているわけですから、そういうお金を全部区の財政として区民の皆さんのために使っていくと。区の施策でやれば、余分なお金がかからないわけですから、その辺のことをしっかりお答えいただきたいと。  あと二点。介護保険の問題で、療養型病床群についてなんですが、これは東京都の方ですべての病院に対して療養型病床群について、そういうふうにしていく意思がありますかということで調査を今されて、その結果がほぼまとまって公表されるそうですけれども、区中央部、千代田、中央、港、文京、台東で療養型病床群への転換の意向というのが四百八十八あるそうです。ところが、港区はどうかという、細かい数字はわからないんですけれども、大体四十床ぐらいではないかと。一般病院と違うのは、廊下を広げたり、病室を広げたりしなければいけませんので、なかなか都心の病院では対応できないというのが実態なんですよね。ですから、私は、先ほど土地の問題も含めて医療機関の意見をよく聞いてと言ったのはそういうこともあるわけですから、一般的に意向だけではなくて、区がどういう形で協力できるのかということも含めた医療機関の意見を聞いていく必要があるのではないかというふうに思いますので、そのことについてお答えをいただきたい。  最後に、区立幼稚園、教育長にお伺いしますけれども、私は、白紙に戻してと一項目で質問しましたよね。それはなぜかというと、これからの子供の教育を考えたときに、区政の主人公は区民の皆さんなんですから、あなた方は執行を依頼されているだけで、区民から幼稚園を六園にしてくれなんて、そんなことをしていいというふうにやられていないんですよ。ですから、教育委員会の案はきちっとないものとして、これから区民の皆さんのいろいろな意見を聞いて基本方針(案)を立案していくと。こういう立場に立つべきではないかというふうに質問したわけです。そのことはしっかり質問のとおりに、質問に対してどういうふうに教育委員会は考えるのかということをお答えいただきたい。  以上で再質問を終わります。   〔区長(菅谷眞一君)登壇〕 ○区長(菅谷眞一君) 風見議員の私に対する再質問、五点についてお答えいたします。  最初に、「周辺事態措置法案」に関する私の姿勢でございますが、もちろんこういう国のレベルでの国策としての問題がすぐ地方自治体の問題に連動して右へ倣えするような、そういう仕組みの法案については、私自身、反対する立場でございます。したがいまして、地方自治体としての主体的・自主的な姿勢が貫けるような、そういう法案としての姿勢に転化する、そういう姿勢で臨みたい。  また、具体的には、ご指摘のように、麻布米軍ヘリポートを抱える区の立場としての事情もございますし、さまざまな面を考えながら、先ほど申し上げたような姿勢と同時に、あらゆる機会を通じてアピールをしていきたい、そのように考えております。  二点目の「いきいき区政推進計画」の問題にかかわる財政構造改革の問題でございますが、結論的に申し上げまして、私としては、さらに一層財政構造改革には取り組まなきゃならない状況であるという認識でございます。一般財源の増収部分があるのではないかというご指摘もございますが、一時のそういう増収に対する収入源としても、やはりまだ不安定な部分という性格もございます。なぜかと申しますと、いささかの増収がある一方で、国の景気対策による減税などによって区税収入が、先ほども答弁で申し上げましたが、十三億円からの減収の影響があるというような事態もございます。したがいまして、財政構造の改革については引き続き取り組んでまいりたいというふうに考えております。  三点目の超過負担の問題についてでございますが、これについては私も大変憂慮しておりますし、また、この解消の運動については積極的に引き続き取り組んでまいりたい。とりわけ、区民の皆さん方に、先ほども申し上げましたが、よく理解をしていただき、かつまた、区民の皆さんに具体的なこういう実態をお知らせしていきたい。それは一つの方法として、区の財政白書といいますか、財政のお知らせという広報紙を使ってのPRもございます。そういう機会をとらまえて、よく区民の皆さんにお知らせをしていきたい、そういうふうに考えております。  それから、公社の問題については、先ほども答弁申し上げましたが、やはり行政が直接やることによるさまざまな区民の側から見てのたどたどしい問題も従来から大変ございました。いわゆる縦割りだとか、非効率の弊害だとか、そういうものが相当指摘をされておりました。こういうものを一くくりにして、公社という一つの法人を設立して、効率よく最少の経費で最大の効果を上げられるような機動的な事業運営をしてまいりたい、そのように考えております。  最後に、療養型病床群の問題でございますが、これは一般病床からの転換をする、療養機関、医療機関の問題もございますと同時に、区としての体制、対応もございます。したがいまして、先ほど申し上げましたような意向を調査するという段階では医療機関のヒアリングをし、かつまた、区としての考え方も申し上げ、両者パートナーとしてのこういう問題に対する取り組みを確認してまいりたい、そのような姿勢で臨むつもりでおります。   〔教育長(中村勝弘君)登壇〕 ○教育長(中村勝弘君) 風見議員の再質問にお答えいたします。  先ほどお答えいたしましたとおり、基本方針(案)は、教育委員会の基本的考え方を素案としてまとめたものであります。広くご意見をお伺いする際のいわばたたき台としてお示して論議を進めていきたいという考えでありますので、よろしくご理解のほどお願いいたします。 ○二十一番(風見利男君) 今の教育長の問題について、自席から再度、再質問させていただきたいと思います。  今、たたき台とおっしゃいましたね。ということは、これには固執をしないと。区民の皆さんがいろいろな意見を出されて、それを参考に再度検討して決めていくと。たたき台というのは普通そういうものだと思うんですけれども、それについてどういうことなのかということをお伺いしたいと思います。
     区長のところで、財政構造改革を進めていきたいと。こういうお話なわけですが、私、歳入確保策も含めて、我が党は一貫してずっと要求してきているわけですけれども、財政構造改革ということは、こういうことも含めて歳入の確保もあわせて、入ってきたものをどう使うかということと、新たな財源をどう確保していくのかという両面でやっていくべきものだというふうに思うんです。ですから、一時増えたからといって、それを使っていいのかどうかという、こういうお話もありましたけれども、先ほども再質問のときに言いましたけれども、公債費のために減債基金三十二億円を積んだわけでしょう。財政課長にお聞きしたら、「起債残高は平成十年度をピークに減っていくんだ」と。このピークのときに公債費のためにいわゆる債権、傍聴の方がわからないといけませんから、債権の返済のために使うのにためたお金を三十二億円、三年間で言えば十億円ずつ使えるわけでしょう。そうすれば、公債費に回っていた十億円が新たな区民の施策に使えるわけですよ。これは小学生でもわかるでしょう。そういうことをやりなさいと言っているわけです。ですから、そのことについては、もう一度答弁いただきたい。   〔区長(菅谷眞一君)登壇〕 ○区長(菅谷眞一君) 財政構造改革のご指摘でございますが、もちろん財政全般のそういう歳入確保策も含めて、安定的な区の財政運営はどうあるべきか、やはり我々としては真剣に考えていかなきゃならない。その中で、一方では減債基金を充てての起債の償還、そういうものも先ほど申し上げましたように、努力しながら、効率よく財政構造改革が進むように、そういう取り組みをしてまいりたい。その結果、効果が上がることによって、区民・福祉・教育・医療、さまざまな面での余裕財源が生じてくるはずでありますから、そういう面に努力をしてまいりたい、こう申し上げているわけございます。よろしくお願いします。   〔教育長(中村勝弘君)登壇〕 ○教育長(中村勝弘君) 基本方針(案)につきましては、今後、広くご意見を伺う中で、適切に対応して、方針(案)なるものを決めていきたいと思っておりますので、よろしくご理解いただきたいと存じます。 ○議長(真下政義君) 二十四番山越明君。   〔二十四番(山越 明君)登壇〕 ○二十四番(山越明君) 平成十年第二回定例会に当たり、区議会公明を代表して、区長並びに教育長に質問いたします。積極的かつ明快なるご答弁をお願いいたします。  初めに、エンゼルプランについてお伺いいたします。  今回、港区版エンゼルプランとして「港区の子育て支援策」が策定されました。この支援策は、安心して子供を産み育てることができる短・中期的施策の指針であるとされております。最近の「都政新報」のコラムには、次のような記事が載っておりました。「子育ての悩みは今も昔も大きく変わらないが、核家族化の進む最近は、相談相手が自分の親ではなく、育児雑誌にかわっている場合が多い。ただし、雑誌で得る知識はマニュアル化されているため、自分の子が少しでも一般的でないと不安になり、行政の窓口相談に飛び込む親が目立つとしております。そんな中、最近の相談で一割程度あるというのが『自分の子供のおしっこが青くない』という相談である。これは紙おむつのテレビ宣伝で吸収力のPRをする際、青い液体をたらしているが、これを本当の子供の尿の色と勘違いする親がいるというのだ。当初は担当職員も笑っていたが、余りの相談件数の多さに当惑している」とありました。最近の子育ての悩みの一端がかいま見えるようであります。  ところで、港区の少子高齢化の進行についてでありますが、全国平均を八年先取りして進んでいるようであります。今年五月に発表された総務庁の人口推計によれば、六十五歳以上の高齢者が約二千万人、十五歳未満の年少人口が約千九百万人となっております。既に昨年の時点で高齢者と年少人口の比率は逆転しております。港区においては、既に平成元年に高齢者人口が年少人口を上回っております。ちなみに、港区の現在の高齢者数は約二万五千人、年少人口は約一万六千人となっております。全国レベルに比べて、港区においては少子高齢化が八年程度先に進んでいるところであります。これはバブル期を通じての年少人口を含むファミリー世帯の流出が大きく影響しているものと思われます。今後、今回発表された支援策が、具体的な支援計画として平成十年度中に策定されるとしておりますが、少子化の進行の著しい港区の状況を十二分に踏まえて、手厚い子育て支援の具体化を進めることが強く望まれるところであります。  ところで、今回の実態調査において注目される点が一点あります。それは「子育てに関する経済的・家庭的条件等が整えば、子供は何人欲しいですか」との問いに三人が五六%、二人が二三%、四人が一五%となっております。つまり七〇%近い人が子供は三人欲しいと答えているのであります。この調査結果は、「独身・晩婚・少ない子供」が時代の風潮になりつつあるという一般論とは異なる結果を示しているものと思われます。そこで、経済的・家庭的条件とは具体的に何を指しているのかということについて掘り下げて調査し、綿密に意向の把握をするべきではないかということであります。  この調査を進めれば、当然国が取り組むべき課題、つまり、児童手当、子育て支援の減税施策、教育費の負担軽減、あるいは親の育児休業の補償、さらには住宅対策までも含む幅広い問題が提起されるものと思われます。本来、これらの施策の充実を含めた総合的子育て支援の確立こそが少子化を転換し、安心して子供を産み育てる社会環境の整備となり、エンゼルプランの名に値するものであると思うのであります。  調査結果を通して提起された課題について、国が取り組むべき課題、都が取り組むべき課題、そして区が取り組むべき課題を明確にし、役割分担を明らかにする。そして、国や都が取り組むべき課題については強く要請し、その実現を図っていくことが区としての責務であると考えます。エンゼルプラン、つまり、総合的子育て支援の充実を図るためにも、まず、調査結果にあらわれた子供を多く産み育てるための経済的・家庭的条件について、綿密なる意向の把握に取り組むべきではないかと考えますが、区長の見解をお伺いいたします。  そこで、次に、少子化対策としての新しい住宅施策の取り組みについてお伺いいたします。  初めに、結婚を控えた二十歳から三十歳代層に対する住宅購入のための融資制度の創設についてお伺いいたします。港区は現在、港南荘住宅の建て替えに伴い、二十三区内では初の単身用都心活動層向け住宅の建設に着手いたしました。区民からの要望を踏まえて、以前から我が党が要請してきたものであり、区民は大変に喜んでおります。今後も積極的に同様の住宅の供給に取り組むことを望むものでありますが、もっともっと多くの結婚を控えた青年たちが港区内に住居を確保できるための施策の拡大を要請いたすものであります。  現在、民間の賃貸住宅の家賃については、事業所向けの賃料の大幅な低下に比較して下がり幅が小さく、平米当たりの賃貸料は三千円から四千円で、2LDK六十平米の住宅は月額二十万円程度であり、依然として二十歳から三十歳代の結婚を控えた経済的弱者である青年たちが世帯を持つにはほど遠いのが実態であります。また、中堅ファミリー層にとっても大変な負担であります。この世代の年収に対する適切な住宅家賃はやはり月額十万円以下が適正な額であると考えられますが、はるかにかけ離れているのが実態ではないかと考えます。港区住宅基本計画にも述べられているように、民間の空き家住宅は約一万六千戸もあり、売れ残りのマンションがたくさんあります。依然として家賃や分譲住宅の価格が高いことが影響していると考えられます。反面、お台場地域では千三百戸の低家賃の公的住宅の供給により、約三千人もの人口が確保され、若年ファミリー層が多く居住し、多数の幼児人口が確保されております。公的な住宅支援の必要性が明らかであります。  さて、現在、新築の分譲マンションの建設が多く行われております。加えて市中金利は超低金利状態が続き、頭金さえあれば、賃貸住宅に住むよりも、住宅を取得して、ローン返済を選択した方が割安になると考えている青年たちが多いと感じられます。バブルの時代に都市銀行が住宅ローンに本格的に取り組み、現在では低利のローンが続いており、ある銀行の場合は、六月現在、変動金利型で三%、三年型の固定金利型で二・三五%。十年型の固定金利型で三・四五%となっております。例えば一千万円を固定金利十年型の三・四五%で借り、三十年の返済期間で組むと、毎月の返済額は約四万四千円弱になり、ボーナス返済額は約二十六万六千円であります。  ところで、港区が行っている区民向けの民間住宅に対する支援事業について、一世帯当たりの区の財政負担がどのくらいになっているのかという検証を行ってみますと、初めに、港区が行っている「家賃助成制度」では、五年間で一世帯当たりに区が助成する額は百八十万円になります。また、同様に「区借上住宅制度」では、平米当たり約三千六百円程度で民間から借り上げ、当初はその六割で入居者に貸し出す制度であり、残りの四割を区が助成したことになります。例えば当初借上料を二十万円で二年ごとに四%増の改定率の場合では、二十年間で礼金などの手数料を含めると、一世帯当たり約千四百万円もの助成をしたことになります。  したがって、以上のことを考えあわせると、区の財政負担がより少なくて済み、定住性の高い住宅の確保という観点から、住宅購入資金の融資制度の取り組みを考えても良いのではないかと考えます。区が行う利子補給率を仮に二%とした場合、一千万円の借入金に対して助成する額は約二百万円程度で済む計算になります。他の区の状況を見ますと、現在では、二十三区中十一区が住宅購入に対する融資制度を設けており、一%から三%程度の利子補給をする事業を実施いたしております。より定着率が高く、長期のローンが組める二十歳から三十歳代の青年層の住宅取得者に対し、利子補給等の新たな制度を創設する適当な時期ではないかと考えるものであります。  この提案につきましては、我が党が以前より要請をしてきたところでありますが、財政構造改革の最終年度である平成十一年度の見通しがつきつつある現在、改めて真剣に取り組むことを望むものであります。区長の見解をお伺いいたします。  住宅対策の二つ目の質問は、港区内に存在する国家公務員宿舎の建て替え要請についてであります。  港区内には大規模な国家公務員宿舎・用地が存在しております。平成五年度の調査資料によれば、郵政宿舎においては、用地面積が白金一丁目の五千三百三十二平米をはじめとして十一ヵ所で、合計約二万三千七百二十八平米にもなります。また、総理府や関東財務局宿舎については、南麻布四丁目の一万九千八百七十平米をはじめとして七ヵ所で、合計約二万四千二百三十二平米にも及びます。このほかにも建設省、農林省等の宿舎がたくさんあります。これらの宿舎については比較的建設年数が古い上に、低中層の建物が多く、建て替えを推進すれば、質の改善とともに戸数の増が見込まれるものと考えられます。  公務員宿舎の場合は比較的多くの若年ファミリー層世帯が居住されております。例えば白金二丁目の東京都白金職員住宅の場合は居住年数が十二年程度に決められており、したがって、若年世帯が多く居住されており、幼児人口や児童、生徒人口が多いのが実態であります。したがって、多くの公務員宿舎が存在する港区においては、年少人口の増加が見込めると考えます。よって、地元の自治体である港区が積極的に国等関係機関に宿舎の建て替えを要請することが必要と考えますが、区長のご見解をお伺いいたします。  次に、高齢者介護施設として、区立小学校の余裕教室を有効利用する取り組みについてお伺いいたします。  区内の児童人口の減少に伴い、区立小学校では、平成五年には二百四十六学級、六千六百五人の児童数であったものが、本年には二百八学級、五千五百四十九人になり、三十八学級で千五十六人の児童が減少しております。五年間で三十八の普通教室が使われなくなりました。五年間以前からの累計では、何と百十八の教室が余裕教室として発生いたしました。  現在、その一部が防災備蓄倉庫に使用されておりますが、ほとんどの学校では多目的室や児童会室、さらには資料室等の名目になっており、学校内部での補助的な目的で利用されているのが実態であります。少子化傾向は他区においても同様でありますが、児童数の減少によって生じた余裕教室の有効利用策については、必ずしも教育には限らない施設として地域特性に応じた積極的な取り組みがされております。例えば板橋区では小学校の余裕教室の三室を有効利用し、高齢者ミニデイサービスセンター「高島平はすのみ教室」を設置しております。この施設では利用者の送迎サービスは行っておりませんが、地域の身近な施設として高齢者から喜ばれております。また、町田市では五年前に余裕教室活用計画検討委員会を発足させ、本年四月に改築整備費に約七千二百万円をかけて小学校の余裕教室を有効活用し、本格的なデイサービスセンターを設置しております。調布市においては、高齢者を対象にして小学生と同じ給食を食べる「ふれあい給食授業」を始めております。  他区の事例を紹介いたしましたが、これらは核家族化が進行する中で、余裕教室を有効利用することにより、子供とお年寄りの自然な交流を通じ、地域コミュニティに寄与したいとの思いがあるようであります。現在、港区内においては、高齢者の介護施設は地域的に偏在があり、特に赤坂・愛宕・芝地域での早期建設が望まれております。そこで、お伺いいたしますが、基本計画の見直しが行われている現在、区立小学校の余裕教室を有効利用することにより、区民要望の強い高齢者介護施設を早期に設置する必要があると考えますが、区長の見解をお伺いいたします。  次に、SIDS、つまり、乳幼児突然死症候群の対策についてお伺いいたします。  去る六月一日、厚生省はSIDSに関する初の全国規模の実態調査の結果を発表いたしました。この発表によると、SIDSの危険性が高まる要因として、「うつぶせ寝」は「あおむけ寝」の約三倍、粉ミルクなどの「人工栄養」は「母乳」の約五倍、「父母とも喫煙習慣あり」は「父母とも習慣なし」の約五倍とされております。また、この三つが重なると、危険性は二十一倍にも達すると言われております。  この調査結果は、従来から医療関係者や民間団体などからの指摘を裏付けるものとなったのであります。既に十七年前からSIDSの研究が発足し、その班長をされた東京女子医科大学の仁志田博司教授は、その著書の中で、SIDSが社会的に極めて重要な意味を含んでいることを次のように指摘しております。「日本ではSIDSがよく理解されていないために、『あんなに元気だった子供が急に亡くなるには母親の過失ではないのか』といわれのない白い目を向けられる傾向があり、母親は三重の責め苦に遭ってしまい、さらに悲劇的な結果を招く。すなわち、SIDSについての無知から警察や救急隊、そして医療関係者までがSIDSの家族を罪人のように扱うことが事実日本では起こっている。また、働く母親が多くなった現代では、乳幼児が家庭以外の場所、保育園や託児所で養育される機会が多くなってきた。それは当然、そのようなところでもSIDSは発生することを意味する。その際、家族と保育園側の間で乳児の突然死は事故なのか、SIDSという病気なのか訴訟が起こり、法廷での争いが増加しつつある」と。  ところで、欧米諸国においては、一九六〇年代から研究が進み、うつぶせ寝などの関連が指摘されたために、九〇年代前後からSIDSの危険因子とされた、うつぶせ寝にしない。温め過ぎない。赤ちゃんの周りで喫煙をしない。母乳を推進する。この育児指導のキャンペーンが行われ、大きな成果を上げました。特に、オーストラリアやニュージーランドにおいて、わずか一年でその発生を半減させた実績が特筆されております。そして現在、「SIDSを知らないのはSIDSで死んだ赤ちゃんだけ」という理解の広がりを知るとき、日本における発生率の低さからか、その取り組みのおくれに言及せざるを得ません。  今回の調査結果を踏まえ、厚生省は、赤ちゃんはあおむけに寝かせ、できるだけ母乳で育て、親は妊娠前から禁煙するよう呼びかけていくキャンペーンを開始するとしており、さらに薬害事件の反省から、緊急の場合は厚生省科学審議会で検討し、直ちに対策本部を設置する体制を整えるとしております。また、東京都はSIDSで子供を失った家族への相談事業をスタートさせると同時に、保母さんや保健婦さんへの教育を開始しました。そこで、港区としては、国や都の対応を踏まえて、SIDSへの具体的な取り組みが望まれるところでありますが、その取り組みについて、区長の見解をお伺いするものであります。  最後に、「区立幼稚園の新しい配置計画の基本方針(案)」について、教育長にお伺いいたします。  港区教育委員会は、五月十九日に「区立幼稚園の新しい配置計画の基本方針(案)」を策定し、発表いたしました。私どもは、この突然の発表が新聞報道により、また、区立幼稚園PTA会長等から父母に伝わるや否や、関係者に衝撃的な波動を起こし、その動揺や怒りを持った父母たちが去る六月二日に麻布区民センターの会場をいっぱいに埋め尽くし、教育委員会事務局に対する厳しい質問や抗議の意見となったととらえております。私どもも父母の生の声を直接聞くことができました。  港区教育委員会は、昨年、平成九年六月に港区教育長からの「港区立幼稚園の教育環境の整備、あわせて港区における幼稚園教育の充実を図るための方策について」の諮問を受けて、学識経験者、私立幼稚園代表と保護者代表、区立幼稚園代表と保護者代表を主たる委員とした「港区幼稚園問題検討委員会」を設置しました。この方針(案)は、その答申をもとに策定されたものであります。その内容の主なものは、1)区内を本所及び支所単位を基本とした地区別ととらえ、これに地理的特性を考慮して、台場地域を加えた五地区一地域に区立幼稚園(拠点園)を配置する。2)各幼稚園の配置(設置場所)、施設整備の状況などを考慮し、一定期間、拠点園以外に数園の幼稚園を存続させる経過措置を設ける。3)三歳児保育は拠点園で行い、定員は二十人で一学級とする。4)新しい配置計画は、平成十一年度から実施し、三歳児保育は平成十一年度から施行をし、平成十三年度から施設整備の条件が整った拠点園から実施する、という内容であります。  私ども区議会公明は、この方針(案)に対しては、以下の理由で賛成できないことを表明いたします。  まず一点目は、経過措置として六園プラス数園で開始する。平成十一年度からの新配置計画については、五月十九日の突然の発表によって、父母や幼児たちに衝撃的な不安と混乱を招いている現状を考えると、余りにも拙速過ぎ、種々の無理が生じることが明らかであります。幼児たちを育てている父母や地域住民の理解と協力が何よりも必要であります。一昨年、突然の一方的な計画で多くの区民からの反発を招いた学校屋内プールの一般開放の中止、あのときの反省が生かされていないことは非常に残念に思っております。そして、「港区幼稚園問題検討委員会」の審議内容からは、当面の適正配置は十一園という考え方と、段階を踏んで学級二十人にする期間は十年間程度という考え方が、一転して五年以内に変更論議されており、いきなりの修正が何ゆえなのかが明確にされておらず、理解できないこと。  二点目は、五地区一地域の六園の最終配置計画については、余りにも通園時間、距離が長くなり、二人三人と幼児を抱えた母親たちには大変な負担になります。ましてや、雨の日には傘を差して通園する親子のことを考えると、なおのことであります。また、保育時間が短い区立幼稚園においては、送り届けて帰宅し、間もなくまた迎えに行かなければならないということが想定できます。次の出産を控えた母親にも大変な負担になります。仮に通園バスが運行できたとしても、親子で手をつないで通う親子の触れ合いの大切さがなくなってしまいます。また、近くに私立幼稚園が存在していても、費用負担の面で問題が生じることが明らかであります。したがって、種々の面から父母や幼児の生活実態に合わず、到底理解が得られないこと。  三点目は、六月八日に行われた区立幼稚園PTA連合会常任理事会で確認され、取りまとめられた以下のことを尊重すべきであること。一、園の配置に当たっては、子供が徒歩で通園可能なことを配慮していただき、園数を再検討されたい。二、三年保育は平成十一年度から一園以上で試行してください、という内容であります。  四点目は、区内の二十園の区立幼稚園を一挙に統廃合する、いわゆる「千代田方式」で新しい配置計画を実施するには種々の無理が生じます。港区が従来から行ってきた児童・生徒並びに父母や地域の意見を聞きながら理解を得て行ってきた話し合い方式を基本とした取り組みを行うべきであります。  五点目は、教育委員会の協議経過の中に「昭和四十年に七千八百七十二人であった三歳から五歳の幼児人口は、平成十年では二千九百九十六人で、今後は比較的安定して推移するものと考える」。また、「出生率の低下、少子化、今後の住宅供給計画を考慮しても、今後、年少人口が大幅に増加することを期待することは困難と考える」という理想を前提にして考えられております。本当にこれ以上の年少人口の増加が見込めないかという点であります。  都心の港区において子育てをする上での最大の障害は、良質で低廉な住宅の確保であります。若い青年たちが自力で都心で結婚し、住宅を確保できる環境ではないことが実態であります。現在、区内に居住している若年世帯を対象に施策を図るだけではなく、新しく世帯を確保できる環境にしてあげることが必要であり、そのために行政が知恵を出し支援することが求められております。住宅にかかる負担を軽くすることが何よりも求められております。さきに述べた少子化対策としての住宅の確保策に取り組むことがまだまだ十分にあると考えられます。  したがって、質問の一点目は、教育委員会は既に六月十六日の教育委員会で決定される予定だった具体的な配置計画については、差し控えるとのことでありますが、私どもはこの基本方針(案)に反対する立場から、今後のスケジュールを含め、配置計画の内容の見直しを求めるものであり、教育長の答弁を求めるものであります。  二点目は、区立幼稚園での三歳児保育については、多くの区民から以前より要望されていたものであり、主役は幼児であり、父母であります。区民の選択肢を狭めてはならないものであり、実施することを前提に取り組むべきであると考えますが、教育長の見解をお伺いいたします。  三点目は、昭和四十八年に二十三区内で唯一条例化された「東京都港区公私立幼稚園調整審議会条例」については、当時、公立幼稚園の増設を前提にして制定されたものであり、今回のように幼児人口が減少して統廃合し、減らさなければならない状況においては条例の見直しが必要と考えます。そこでこの際、公私立間の調整については、新たに別の話し合いの場を設けることも必要ではないかと考えますが、区長のご見解をお伺いいたします。  以上で私の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(真下政義君) お諮りいたします。議事の運営上、あらかじめ時間を延長したいと思いますが、ご異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(真下政義君) ご異議なきものと認め、時間は延長されました。   〔区長(菅谷眞一君)登壇〕 ○区長(菅谷眞一君) ただいまの区議会公明を代表しての山越明議員のご質問に順次お答えいたします。  最初に、エンゼルプランについてのお尋ねであります。  区は、少子高齢化が顕著に進んでおり、二十一世紀を担う子供の健やかな成長は区の重要な課題であります。今後、エンゼルプランの本報告に向けて、さらに区民の意向を把握し、区民が安心して子供を生み育てることのできる支援計画を策定してまいります。また、国や東京都等との役割分担を明確にし、必要に応じて関係機関に要請してまいります。  次に、住宅取得に対する融資制度の創設についてのお尋ねであります。  少子社会を迎え、地域社会の活性化を図るためには、若年ファミリー世帯の存在が不可欠であります。ご提案の融資制度は、住宅面から若い世代の呼び込み、あるいは呼び戻しに定住支援としての効果があると考えております。財政面からの制約と、低金利時代における有効性の問題などがありますので、既に実施している他区の状況等を調査し、総合的な定住促進策の一つとして検討してまいります。  次に、国家公務員等宿舎の建て替え要請についてのお尋ねであります。  平成五年度の調査によりますと、港区内には約六十ヵ所、三千戸に及ぶ国家公務員等宿舎があります。国家公務員等宿舎における平均世帯人員は、港区平均を上回っており、また若い世代が多いことも特徴であります。定住人口の確保、とりわけ子供や若い世帯を増やすためには、国家公務員等宿舎の戸数増は極めて有効であります。これまでも区では既存の公的住宅の建て替えを関係機関に要請してまいりました。国家公務員等宿舎の建て替えの促進とともに、戸数増につきましても、あらゆる機会をとらえて、積極的に関係機関に要請してまいります。  次に、高齢者介護施設としての余裕教室の有効利用についてのお尋ねであります。  高齢者介護施設については、今後とも着実な整備が必要であり、区立学校の余裕教室の利用も選択肢の一つと考えております。しかし、児童・生徒の学習環境を優先する必要があることや建築基準法等の制約もあることから、教育委員会など関係部門との連携のもとに協議、検討してまいります。  次に、SIDSについてのお尋ねであります。  SIDS、すなわち乳幼児突然死症候群は、生後一−四ヵ月の乳幼児が睡眠中に呼吸停止等により突然死するもので、その原因が不明であります。これまで区では、親のたばこの弊害、うつぶせ寝の危険性、母乳の有効性等について、母親学級等の健康教育を通じて、普及啓発をしてまいりました。今後とも、医療、保育、教育等関係者との連携を一層深め、突然死防止のための普及活動に取り組んでまいります。  最後に、公私立幼稚園間の調整の場の設置についてのお尋ねであります。  区立幼稚園の適正規模・適正配置や三年保育等を検討するため、港区幼稚園問題検討委員会が昨年六月に設置され、平成十年三月、答申及び報告がなされております。しかしながら、区立幼稚園での三年保育等については、論点整理に終わり、今後、解決する方策として公私立幼稚園を代表する委員等で構成する協議の場を設置し、引き続き検討することが提案されております。ご指摘の点につきましては、この場を活用するなどして、円滑な協議・調整が図られるよう努めてまいります。  よろしくご理解のほどお願いいたします。  教育の問題につきましては、教育長から答弁いたします。   〔教育長(中村勝弘君)登壇〕 ○教育長(中村勝弘君) ただいまの区議会公明を代表しての山越明議員のご質問に順次お答えいたします。  最初に、配置計画の内容の見直しについてのお尋ねであります。  基本方針(案)をお示しした後、幼稚園の保護者や区民、関係者からさまざまなご意見、ご要望が寄せられております。教育委員会として基本方針案については、こうした区民の声などを考慮しながら、適切に対応してまいります。今後のスケジュール等につきましては、広く区民・関係者等のご意見等を伺い、そして、ご理解をいただきながら、基本方針・配置計画を策定するよう努めてまいります。  最後に、区立幼稚園での三歳児保育についてのお尋ねであります。  三歳児保育については、既に私立幼稚園が実施しており、実績もあります。しかしながら、今日の幼児を取り巻く環境の変化を考慮し、また、区民の幼児教育の多様な選択肢を提供するという観点からも、教育委員会が主体的に三歳児保育に取り組む必要があると考えております。今後、私立幼稚園との共存共栄に配慮しながら、試行を含め早期実施に向けて、関係者と協議してまいります。  よろしくご理解のほどお願いいたします。 ○議長(真下政義君) お諮りいたします。本日の会議は、これをもって延会いたしたいと思いますが、ご異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(真下政義君) ご異議なきものと認め、本日の会議は、これをもって延会いたします。                                       午後四時四十九分延会...